1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

【人質家族 独占手記】「あの時、私と一緒に過ごそうと言っていたら...」ハマスのテロに遭遇したアメリカ人家族の苦悩

ニューズウィーク日本版 / 2023年11月7日 13時0分

暖かくしているだろうか。食べ物はあるだろうか。テロリストは彼らを傷つけていないだろうか。彼らは生きているのだろうか。

およそ2週間の最悪の地獄が過ぎ、ジュディスとナタリーは解放された。帰ってきた。体は無事だった。私は2人を強く強く抱き締めた。そのまま放したくないと思った。

ようやく深呼吸をすることができて、私は涙がこぼれた。安堵の涙だ。感謝の涙だ。しかし同時に、苦悩の涙でもある。ガザで今も人質になっている人々を思う苦悩、イスラエルや世界中にいる彼らの家族の不安を思う苦悩だ。

今なお罪のない人が230人以上も冷酷なテロ集団の人質になっていることを知りながら、姉と姪の帰還を心から祝うことなどできない。誰かの祖母や祖父、母親や父親、負傷した若い男女、家族全員、怯える子供や幼児。私は毎晩、目を閉じるたびに、生後9カ月の赤毛の赤ちゃんの顔が浮かんでくる。

戦争は人生を打ち砕く

私たちの親族もまだ7人がガザにいる。最悪の悪夢の中にしか存在しないと思っていた怪物の、その腹の中にいるのだ。大人だけでなく、3歳と8歳のきょうだいや12歳の女の子もいる。そして、3人の親族が殺された。

ジュディスとナタリーは一連の出来事は何も知らず、解放されたときは打ちのめされ、恐怖におののいていた。私たち親族は皆、残りの人質を取り戻すために必要なことは何でもする決意だ。

私は彼ら全員のことを思う。私の大切な親族、ポスターやニュースで見た一人一人の顔。若いカップル、巻き毛の愛らしい女の子、誰かの祖父母であり、誰かの親である人たち。あの土曜日、澄んだ青空の下で朝を迎えた人たちが奪われた。その苦しみはとても耐えられるものではない。

けがをしていないだろうか。出血は止まっているか。食事は取れているか。寒くはないか。子供たちは母親が恋しくて泣いているだろうか。それとも諦めて、暗闇の中で独り座っているのだろうか。

私はジュディスとナタリーを抱き締め、安堵の息をつこうとしている。彼らの解放はかすかな希望をもたらしたが、他の家族にはまだ真っ暗な時が流れている。いまだ捕らわれの身である人々の苦しみを無視することなどできない。彼らの多くは今すぐに医療的措置が必要でもある。

この悪夢は、紛争がいかに予測不可能であり、人々の人生を打ち砕く力を持っているかということを思い知らされる。そして、私たちの深いつながりを。この闘いを共有したときに、私たちは1人の痛みが全ての人の痛みであることを思い出す。

自分の姉と姪が無事でも、他の人たちを見捨てるわけにはいかない。

私たちには助けが必要だ。私たちの経験を知って、語ってほしい。全ての人質を無事に、可能な限り完全な形で家族の元に取り戻すために、あなたたちの支援と声が必要なのだ。彼らの物語を埋もれさせず、私たちのメッセージを共有して、地元や国の議員に手紙を書いてほしい。テロに引き裂かれた家族を再会させるために、私たちと共に立ち上がってほしい。

悪夢はまだ終わっていない。私たちと一緒に悪夢を終わらせよう。

小さな子供を含む3人の親族が殺害されたと述べるジュディスとナタリーの親族

Family of Judith and Natalie Raanan confirms another missing family member is dead/NBC News

    


サライ・コーエン


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください