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部下がなぜか自発的に動きはじめてしまう、「具体化」の魔法とは?

ニューズウィーク日本版 / 2023年11月10日 11時10分

さて、果たして澤田君は仕事をしているのだろうか? 

少し社会人経験を積んだ人なら、「否」と答えるに違いない。しかし、もし部下の仕事の定義が「上司の指示に従う」ことであれば、澤田君は確かに編集長の指示に従って行動している。

何が足りなかったのだろうか? 

この場合、足りなかったのは具体化である。

「イラストの見積もりをとって」という上司の指示に対し、「イラストレーターは誰を使うのか?」「納期はいつか?」「予算はいくらか?」「イラストは何枚か?」「何のイラストが必要なのか?」「読者ターゲットは誰か?」などの要件を具体化してからイラストレーターに話を持っていく必要があった。

その具体化を怠ったため、澤田君の仕事は出戻りになってしまったのだ。

あらゆる仕事は「具体化」である

この例に限らず、基本的に、「仕事とは、上司の指示を具体化すること」である。フリーランスであったり、自分が社長である場合は特に上司がいないが、その場合は、「仕事とは、お客さんの要望を具体化すること」と読み替えるとよい。

この粟島氏はフリーランスのイラストレーターであって上司がいないが、ルネサンス書房という出版社がお客さんである。お客さんの要望は、しばしば具体性に欠ける。

「かっこいいイラストを描いてください!」という抽象的な要望に対し、「誰にとってかっこいいイラストなのか?」「何点必要なのか?」「画材や納品形式は何が望ましいのか?」などと要望を具体化し、適切なイラストとして具現化させるのがプロの仕事である。

谷川祐基(たにかわ・ゆうき)
日本教育政策研究所代表取締役。1980年生まれ。愛知県立旭丘高校卒。東京大学農学部緑地環境学専修卒。小学校から独自の学習メソッドを構築し、塾には一切通わずに高校3年生の秋から受験勉強を始め、東京大学理科Ⅰ類に現役合格。大学卒業後、「自由な人生と十分な成果」の両立を手助けするための企業コンサルティング、学習塾のカリキュラム開発を行う。著書に『見えないときに、見る力。:視点が変わる打開の思考法』『賢さをつくる:頭はよくなる。よくなりたければ。』『賢者の勉強技術:短時間で成果を上げる「楽しく学ぶ子」の育て方 』(共にCCCメディアハウス)がある。

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  谷川祐基[著]
  CCCメディアハウス[刊]

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


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