1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

ガザ攻防「地下戦」研究者が語るイスラエル特殊部隊の実力、全長500キロの要塞への入り口は洗濯機にも!?

ニューズウィーク日本版 / 2023年11月20日 11時35分

イスラエル側によれば、多くのトンネルの入り口は「学校やモスク(イスラム礼拝所)や病院など、民間人施設の間に隠されて」いる。イスラエル軍は2014年、パレスチナ人の住宅にある洗濯機がトンネルの入り口になっていたケースも報告している。

「イタチ」部隊の実力は

ハマスのトンネルには、跳ね上げ戸で隠された発射台にロケット弾を運搬するためのレールが敷設されているという。

就寝スペースや換気・物資補給用シャフト、医療施設、司令室を備え、包囲戦を想定した食料、燃料や武器弾薬の備蓄庫のほか、ロケット弾製造施設もあると言われる。

この高度な地下ネットワークは有線通信システムで結ばれ、地雷やブービートラップ(罠)で防衛されているらしい。

こうした情報の全てが真実ではなくても、ガザの地下に驚異的な要塞が存在するのは明らかだ。攻撃する側のイスラエルには罠であり、ハマスにとっては避難所になる。

イスラエル軍は以前にも地下トンネルに遭遇している。

13年には、とりわけ大規模な越境攻撃用トンネルが見つかった。始点はイスラエルとの境界の約1キロ手前で、深さは約22メートル。境界のイスラエル側に約300メートル入った深さ約18メートル地点まで延びていた。

イスラエル軍は翌年、51日間続いた大規模なガザ攻撃でトンネルの一部を破壊した。米シンクタンク、ランド研究所の分析によれば、イスラエル軍はこのとき、地下戦の現実に驚愕したという。

イスラエル側が「ガザ地下鉄」と呼ぶトンネル網を発見し、トンネル内部で戦い、破壊するのは至難の業だった。

この経験から、イスラエル軍は地下戦を専門とする特殊部隊、サムール(ヘブライ語でイタチのこと)を増強した。サムールは長年、トンネルやブービートラップ、爆発物を検知可能なセンサーの開発に従事しており、トンネルの位置を特定する地中探知レーダーも開発している。

発見されたトンネルは特殊兵器「スポンジボム」で破壊するか、封鎖する。スポンジボムは爆弾ではない。コンクリートのように硬くなる発泡剤が膨み通路を塞ぐ。トンネル内の爆発物を察知し、敵を攻撃するよう訓練された軍用犬も擁している。

隊員は可動型の探索ロボットを操作する訓練も受ける。カメラを搭載したロボットはトンネル内部の画像を伝達し、ブービートラップを爆発させて処理することが可能だ。

サムールに選ばれるのは、トンネルの閉塞感に耐えられる兵士だけだという。地下通路は「暗く、恐ろしく、狭苦しい」場所で、暗闇から敵が「幽霊」のように攻撃してくる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください