「冬のヨモギ」はなぜ乳製品と相性がよいのか?...日本の雑草専門家に聞く「おいしい草の食べ方」
ニューズウィーク日本版 / 2023年11月30日 15時58分
しかし人里近い場所に多く生息するヨモギは、人の手によって定期的に刈り込まれることが多々あります。
こうしたヨモギは刈り取られた位置からまた新しい葉を展開するため、このようなヨモギに出合えれば季節を問わず若い葉を入手することができます。ちなみにこの刈り込まれた後に生えてきた新しい葉っぱのことを私は《どこんじょヨモギ》と呼んでいます。
香りの違いを生かした調理を
草刈りのおかげもあって、ある意味、通年で手に入るヨモギの若葉ですが、夏から初冬にかけて出現するどこんじょヨモギは、春の若葉と比べてなぜかとても香りが強く、単体でそのまま食べてもあまりおいしくありません。
一度天ぷらにして食べてみたことがあるのですが、キク科独特の香りが強く、春のそれとはまるで別物のようでした。揚げる際に使用した油にもすぐに香りが移ってしまうほどです。
ですが調理次第では、この強い香りもおいしく生かすことができます。この時期のヨモギは牛乳や生クリームなど乳製品との相性が良く、これらの脂肪分がどこんじょヨモギの強い香りをマイルドに包み込んでくれます。
これからご紹介するレシピは以前、雑草食をテーマに開催したイベントの中でも大変好評でしたので、ぜひ試していただきたい逸品です。
「ヨモギのポタージュスープ」
『道草を食む 雑草をおいしく食べる実験室』 181頁より
Michikusa(みちくさ)
1991年千葉県生まれ。東京農業大学農学部農学科卒。幼い頃より道端、河原、まちなかの商店街などさまざまなフィールドで足元の植物を観察。現在は岡山県を中心に雑草を暮らしに取り入れる方法を日々模索しながら各地で観察会やワークショップを開催。ポッドキャスト番組『道草を食む-雑草を暮らしに活かすRadio-』(Apple Podcast 自然カテゴリ1位)を不定期に配信中。薬草料理マイスター。自然観察指導員。
『道草を食む 雑草をおいしく食べる実験室』
Michikusa[著]
CCCメディアハウス[刊]
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