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日本株上昇~バブル後最高値更新の意味~

ニューズウィーク日本版 / 2023年11月29日 16時50分

ただ、その後の2019年の消費増税や20年の新型コロナ禍で、名目GDPの拡大が止まり、2022年まで550兆円付近で足踏みしていた。そして、2023年1-3月にはインフレと経済正常化があいまって、名目GDPは570兆円と従来のレンジを明確に上回り、7-9月期には588兆円まで大きく増えた。

日本経済の正常化が、株式市場で適切に反映

2023年の日本株の上昇は、名目GDPが従来レンジを上回って伸びたのとほぼ同じタイミングで起きたことになる。脱デフレ完遂が現実味を帯びて、名目GDPが増えない時代が終焉しつつあるとの認識が強まったことが、23年の日本の株高を牽引したと言える。

23年の日本株上昇は、脱デフレ完遂によって、日本経済が他の主要国と同様に正常化していることが、株式市場で適切に反映されていると位置付けられる。であれば、今年の株高は必ずしも行き過ぎた上昇とは言えないだろう。

日本では金融緩和が続き、副作用が大きいなどとメディアや論者が指摘してきた。ただ、黒田・植田態勢での日本銀行の金融政策が、円安を通じてインフレと名目GDPを押し上げる最後の一押しになった。この意味で、金融緩和が徹底されたプラスの側面は大きかったと言える。

2024年も日本株の上昇は続くだろうか

2024年も日本株の上昇は続くだろうか。2%インフレの安定化とともに、名目GDPが増え続けるかどうかが、引き続き重要だろう。2024年には日本銀行が、2年連続での春闘の賃上げ上昇を見定めた上で、マイナス金利政策を解除するなど、引締め政策に踏み出すと予想される。

2022年来の円安が続き、ドル円が歴史的な水準まで円安が進んだことが、2023年の名目GDPの大幅な増加を大きく後押しした。2024年は、円安の追い風がほぼなくなるとみられ、名目GDPは23年ほどの拡大は見込みづらい。この点は日本株高を抑制する要因になりそうである。

ただ、物価高が問題とされているが日本では、22、23年の米欧でみられた高インフレが起こる兆しはみられない。日本銀行が引締め政策を始めるとしても、性急な引締めを行う可能性は低いとみられる

1ドル150円前後はかなりの円安水準なので、2024年に1ドル130円台程度への円高進行であれば、24年も名目GDPは緩やかな伸びは確保できそうである。そうであれば、来年の日本株市場については、米国株などと同程度のリターンは期待できるのではないか。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

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