土星の環が消失?「天体の不思議」土星の素敵な環を観測したいなら今がベストタイミング
ニューズウィーク日本版 / 2023年12月1日 17時35分
ただし、環の厚みは極めて薄く、だいたい数十メートル程度だ。環は土星の赤道の真上を回っているので、土星の公転軌道に対しては同様に26.7度ほど傾いている。
この傾きが土星の環を消す。環の厚みが非常に薄いため、遠くから見ると、角度によっては面ではなく細い線にしか見えない。
この現象を理解するには、一枚の紙を手に取ってみるといい。目の高さで紙を水平に保持すると、紙の面は見えず、細い線にしか見えない。
土星の環も同じだ。
土星が公転軌道のどこにあるかで、その見え方は変わる。軌道を半周する間は土星の北半球が地球の側に傾き、その環も北側の面がこちらに傾く。
土星が太陽の反対側にいるときは、南半球が地球の側を向いている。同様に、土星の環も南の面がこちら側に傾いた状態で見える。
この仕組みを目で理解する最もいい方法は、やはり紙を使うことだ。
紙を水平に、つまり地面と平行にして、目の高さに掲げよう。次に、紙を地面に向かって少し下に傾けると、紙の上面が見える。紙を目線より上に戻すと、今度は裏面が見える。
しかし目線と水平になった瞬間には、紙の面は全く見えなくなる。
これが土星の環の見え方だ。
土星の季節が進むにつれて見え方が変わり、地球から環の南側が見える状態から北側が見える状態に移行する。その後はまた、環の南側が見える状態に戻る。
つまり、土星の公転周期には2度、その環が地球に対して水平になるタイミングがあり、その時期には地球からは環が消えたように見える。
この現象が2025年に起きる。
私たちが環を水平方向から見ることになるので、環は限りなく細い線になり、「消えて」しまう。
この現象は定期的に起きる。前回は2009年で、数カ月かけて徐々に再び環が見えるようになった。
今回は25年3月に、環が地球から見えない位置にくる。その後、大型望遠鏡であれば少しずつ見える状態になるが、25年11月には再び見えなくなる。
しかし、しばらくするとまた見えてきて、数カ月待てば、また大型の望遠鏡なら見えるようになる。だから心配は無用だ。
結論。土星の素敵な環を観測したいなら今がベストタイミング。
今を逃したら、次にくっきり見えるのは早くても27年か28年だ。
Jonti Horner, Professor, University of Southern Queensland
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
ジョンティ・ホーナー(豪サザンクイーンズランド大学教授)
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