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2期目のトランプはアメリカの民主主義を破壊するのか......広まる憶測と恐怖

ニューズウィーク日本版 / 2023年12月6日 14時30分

具体的な政策としては、まず「スケジュールF」というのがあるそうです。これは、連邦政府の職員を入れ替える作戦です。アメリカの連邦政府職員の中で、約4000人の上級管理職に関しては政治任用と言って政権が交代すると、新政権が新たに自分の人脈やブレーンを任命します。ですが、中級以下の職員は通常は政権交代の影響は受けません。これを変更して中級の職員5万人も「政権に忠誠を誓う」よう踏み絵を踏ませ、気に入らない人物は追放する計画だそうです。

特に司法省(日本の法務省と検察庁に相当)には徹底的に自分に忠誠を誓わせるとともに、検察の力でトランプの政敵を全て逮捕して投獄するとしています。つまり、この間に自分が味わった多くの訴追について、徹底的に復讐するというのです。反対に、自身の犯罪は自身で恩赦するとともに、例えば2021年1月6日の議事堂暴動事件で有罪になった支持者は全員恩赦するとしています。

また、移民政策としては不法移民の国外退去を進めるとともに、アメリカ国内で出生しても親が不法滞在の場合は子供に市民権を与えないとしています。これは憲法に抵触するので実行は難しいとされていますが、トランプは何度もそのように主張しています。

更に、軍事外交面ではウクライナへの支援を停止するとともに、NATOからの脱退もしくは関与の著しい削減を行うという発言が繰り返されています。その理由についてトランプは、「アメリカにとって最大の脅威はロシアではなく、国内にある」からだとしています。

ちなみに、一期目の選挙戦と比較すると、昨今のトランプは日本や韓国からの駐留米軍撤退を口にすることが少なくなっています。ですが、アメリカがNATOから脱退する姿勢を示せば、西側同盟は大きく動揺し日本への影響は大きなものとなる懸念は否定できません。

では、国外展開から撤収したら、米軍をどうするのかというと、トランプが繰り返し述べているのは2つの「作戦」です。1つは、米軍をメキシコ領内に展開して麻薬マフィアを殲滅するとしています。もう1つは、民主党の知事が荒廃させた州に米軍を派遣して治安を回復するというのです。具体的には黒人の人権を主張するBLM運動やパレスチナ連帯の運動を軍事力で制圧する計画だといいます。

民主主義が破壊される

更に、このところトランプと厳しく対決してきたリズ・チェイニー前下院議員が警告しているのは、トランプは仮に2期目に当選して大統領に復帰したとしても、自分が終身恩赦され、民事訴訟も受けないという保証がされない場合、大統領を辞めないという可能性です。つまり、2029年1月に任期満了となっても、非常事態宣言などの手段を使ってホワイトハウスに居座るつもりだと指摘しています。

チェイニー氏は、こうした事態を阻止するために、大統領選へ無所属として出馬する意向を示しています。チェイニー氏だけでなく、この種の懸念の声はかなり上がっており、2期目のトランプはアメリカの民主主義を破壊するかもしれないという恐怖が囁かれています。




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