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テイラー・スウィフトの「今年の人」選出はカネ目当て?

ニューズウィーク日本版 / 2023年12月11日 15時52分

映画『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』のプレミアで(10月11日、ロサンゼルス) REUTERS/Mario Anzuoni

<コンサートの大成功に加えて政治や社会への影響が評価されたテイラー・スウィフトだが、CNNの著名ジャーナリストはタイム誌の選択に異議がある>

【動画】大丈夫? 見えてない? 心配になるほど際どい衣装で踊るテイラー・スウィフト

アメリカのニュース雑誌タイムが「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」にシンガーソングライターのテイラー・スウィフトを選んだことについて、CNNの司会者で著名ジャーナリストのクリス・ウォレスは12月9日、「完全にマーケティング目当て」であり、本来なら中国の習近平国家主席を選ぶべきところだっただろう、と語った。

Buy the Person of the Year issue--and get the Taylor Swift cover--here https://t.co/KKleYKXASH— TIME (@TIME) December 7, 2023

タイムが1927年以来、毎年選出しているパーソン・オブ・ザ・イヤーは、「良くも悪くも...その年の出来事に最も影響を与えた人物」に贈られることになっている。2021年のイーロン・マスクのように毀誉褒貶相半ばする人物や、1938年のアドルフ・ヒトラーのような歴史的悪役にも与えられている。

2023年のパーソン・オブ・ザ・イヤーに選出されたことは、スウィフトにとって画期的な年の締めくくりとなった。今年はヒットアルバムが再リリースされ、3月から始まった世界をめぐる「ザ・エラス・ツアー」は記録を塗り替え、コンサートが開催されたすべての都市で経済活動が著しく促進されたことが認められている。また、スウィフトの政治的影響力も大きな話題になった。女性の権利、LGBTQ+の権利、人工妊娠中絶の権利保護を支持する彼女の発言が、ニュース頻繁に大きく取り上げられた。

習近平やAIのあの人は?

ニューヨーク・タイムズ紙は、選挙で投票をするための有権者登録をファンに呼びかけたテイラーの発言が、前回2020年の大統領選挙に向けて有権者登録が6万5000人急増したことにつながったとしている。

だが、CNNのウォレスは、自分はスウィフトの初期の作品のファンだと言いながらも、タイムの選択に異議を唱えた。スウィフトの膨大なファン層に便乗し、あまりメディアの取材を受けないスウィフトのインタビューを取るための戦略だったのではないか、と語った。

「彼女が文化的にも経済的にも大きな力を持っていることは理解している。だがタイムが彼女をパーソン・オブ・ザ・イヤーに選んだとき、私は『勘弁してくれ』と思った。テイラーはこれまに受けてきた称賛で十分だ。この賞には、習近平やオープンAIのサム・アルトマンのような他の最終候補者のほうがふさわしくないか」

ではなぜスウィフトが選ばれたのか、ウォレスの考えはこうだ。「もしタイム雑誌が他の人を選んでいたら、スウィフトを表紙にすることはできなかった。テイラーのインタビューに成功することもなかっただろう。かつては400万部以上あったが、今では100万部強にまで落ち込んでいる雑誌の純粋なマーケティング戦略にしか見えない」

選出理由を説明するページで、タイム編集長のサム・ジェイコブスは、文化的、政治的に両極化した時代の中で、スウィフトを「分断を越え、光の源となる」ことができた人物だと述べた。

一方、スウィフトのファンからは、スウィフトが受賞した賞は、イスラエルとハマスのガザ紛争を取材しているパレスチナ人ジャーナリストに与えるべきだという声が上がっている。

トーマス・キカ

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