「日本の技術は最前線にいる」と専門家...CO2を「回収・貯留・有効利用」するCCUS技術に環境団体は反発も
ニューズウィーク日本版 / 2023年12月16日 14時39分
――CCSとCCUSの現状を教えてください。
「現在、私たちは年間約4000万トンの二酸化炭素を地中に貯留している。この数字はあまり変わっていない。しかし30年までに地中に貯留する二酸化炭素を年間10億トンまで増やすことを約束している。これは非常に大きな増加だ。約6年で25倍になる。私たちにはこの技術が必要だ。再エネは3倍、炭素回収・貯留は実に25倍だ」
「それは必要なことであり、私たちはそれに取り掛かる必要がある。なぜ炭素回収のコストが高止まりしているのか、なぜ導入がまだかなり限定的なのか。これまで炭素回収は常に国民、納税者の負担、補助金によって賄われてきた。ある技術から利益を得る人々がその費用を支払うべきなのだ」
「二酸化炭素を処理するために炭素回収・貯留を利用することで利益を得るのは化石燃料を使用し、生産し、販売する人々だ。二酸化炭素の処理コストを化石燃料のバリューチェーンに組み込む必要がある。そうすることで二酸化炭素の排出量を減らすことができる」
「二酸化炭素の処理コストを考慮すれば化石燃料の現在の利用の多くが経済的に意味をなさないことがすぐに分かる。そうなれば化石燃料の使用量は減り、自然にネットゼロの未来へと進んでいく」
「CCSへの投資は税金ではなく、産業界がそのコストを顧客に転嫁し、化石燃料のバリューチェーンを通じてコストを分配すべきだ。化石燃料産業に補助金を出すのは経済的に良くない。CCSにお金を払うことは一種の補助金だ。化石燃料を売りたければ、その燃料から発生する二酸化炭素を処理しなければならないという単純な許認可制に移行する必要がある」
「化石燃料がより高価なものになることを強調することは非常に重要だが、明日やる必要はない。今後25年間は化石燃料がより高価になることを予測し、国民は化石燃料への依存度を減らすために使用量を減らしたり、電気自動車に切り替えたり、その他できることをすべて考える必要がある」
「今世紀半ばまでには、地球温暖化の原因となる製品の販売、生産、購入、使用は一切許されないという原則を確立する必要がある。その原則が確立されればネットゼロの未来はごく自然に実現する」
──あなたが率いるオックスフォード大学のチームが唱えるカーボン・テイクバック・オブリゲーションについて教えてください。
「基本的に拡大生産者責任の原則を化石燃料産業に適用するものだ。カーボン・テイクバック制度では二酸化炭素を生産したり輸入したりする人は誰でも、つまり化石燃料を生産したり輸入したりする人は誰でも、その燃料が使用された時に発生する二酸化炭素の一定割合が安全かつ永久的に地下に廃棄されたことを示す必要がある」
この記事に関連するニュース
-
2024年の中東のエネルギー投資額は1,730億ドル、うちクリーンエネルギーは15.6%、IEA予測(中東)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月12日 0時35分
-
2024年のクリーンエネルギーの投資額は化石燃料の2倍近く、IEA予測(世界)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月7日 16時35分
-
バイデン米政権が自主的炭素市場の発展に向けた新たな措置を発表(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月30日 13時20分
-
ブルームバーグNEFによる「長期エネルギー見通し(NEO):2024」 現行の技術を早急に導入すれば世界のネットゼロ実現が近づく可能性
PR TIMES / 2024年5月22日 12時45分
-
アルセロール・ミタルのゲント製鉄所で実証試験用CO2回収装置が稼働開始
PR TIMES / 2024年5月21日 17時45分
ランキング
-
1日本国旗を踏みつける子どもの映像に中国で批判の声
Record China / 2024年6月17日 11時0分
-
2中国、フィリピン船が「故意に接近して接触」と主張 南シナ海
ロイター / 2024年6月17日 15時43分
-
3G7のウクライナ融資、EU諸国は直接関与せず=イタリア首相
ロイター / 2024年6月17日 8時4分
-
4バイデン氏がセレブと選挙資金集会、3000万ドル調達 最高裁批判も
ロイター / 2024年6月17日 9時54分
-
5豪中首相が会談、軍の意思疎通改善へ 李氏「率直な協議」
ロイター / 2024年6月17日 17時2分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください