「ウィリアム皇太子は身勝手」...ヘンリー王子側からの「新たな暴露本」にチャールズ国王の憂鬱は終わらない
ニューズウィーク日本版 / 2024年1月12日 14時45分
ウィリアムは20年に環境保護への貢献者をたたえるアースショット賞を創設し、昨年は11月にシンガポールで授賞式を行った。だが新聞の一面を飾ったのは、チャールズが即位後初めて行った議会演説だった。
すると翌日ウィリアムは取材を受け、自分はこれまでの王室とは違う、社会問題に光を当てるだけでなく実際にホームレス用の住宅を建設したいと抱負を述べた。
これがヘンリーの発言だったら、亡きエリザベス女王の功績を暗に批判していると受け取られ、炎上しただろう。
ヘンリー夫婦に長男が生まれる際、肌の色を懸念した人物は2人いたという DOMINIC LIPINSKIーPOOLーREUTERS
「つなぎ」の王と呼ばれ
『エンドゲーム』が描く国王とその世継ぎは、互いにすさまじい対抗心を燃やす。
22年にウィリアムとキャサリン夫妻のカリブ海諸国歴訪が訪問先で抗議活動を引き起こして散々な結果に終わると、国王は「他人の不幸は蜜の味とばかりに喜んだ」。
ウィリアムも負けてはおらず、自分の道を行くつもりだと帰国後に発言した。これをチャールズのある側近は「無礼」、別の側近は「もってのほかだ」と非難した。
ウィリアムも王室職員の多くもチャールズを「つなぎ」の国王、エリザベスの治世からウィリアムの治世への「橋渡し役」と見なしていると、スコビーは主張する。
とはいえチャールズは現在75歳だから、あと20年は王位にとどまるかもしれない。そしてスコビーの見るところ、ウィリアムは跡を継ぎたくて既にうずうずしている。
「王室は長く厳しい冬を迎えつつある。現国王の治世は今後20年続くかもしれず、当面歴史に残るようなイベントはない。在位の節目を祝うジュビリーも結婚式も子供の誕生もない。王室はそんな冬の時代をどう乗り切るのか。
過去の王室は国民の関心を引き付けるこうした華やかな行事に頼ることができたが、これからは本質で判断される。仕事ぶりに注目がいく。王室は何をするのか。どんな影響力を発揮するのか」
王室が人種差別などの難しい問題を突き付けられるなか、今後のカギを握るのはウィリアムとチャールズのライバル関係だとスコビーは考える。
多様性を欠く王室の在り方や奴隷制に関与した歴史に対する及び腰な姿勢を、『エンドゲーム』は批判する。奴隷制との関わりを詳解し、メーガンの処遇にも触れる。
「題名を『エンドゲーム』(終局、終盤戦の意)とした理由を聞かれるが、私は王室が終わったとは考えていない。だが終わる可能性はあると思う」と、スコビーは言う。
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