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実効支配のしるしに老朽船を座礁させて籠城、中国の妨害を避けて空から補給をやってのけたフィリピンのゲリラ戦法

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月23日 15時49分

数カ月前には、無人の礁に物資を輸送しようとしたフィリピン船に、中国側が中国海警局や海上民兵の船を送り込んで妨害し、緊張は激しさを増している。

2023年12月には、中国海警局の船がセカンド・トーマス礁の近海でフィリピンの補給船に放水銃を発射。フィリピン側の少なくとも1隻がエンジンに損傷を受け、フィリピン軍の参謀総長が乗っていた別の補給線は中国側の船と衝突した。

中国は南シナ海の大部分について領有権を主張しており、この中には国際的に認められているフィリピンの排他的経済水域内にあるセカンド・トーマス礁(フィリピン名はアユンギン礁、中国名は仁愛礁)が含まれている。

2016年にはオランダ・ハーグの仲裁裁判所が、南シナ海における中国の主張を認めない判断を下しており、フィリピンなどのアジア諸国や欧米の政府は、この判断に法的な拘束力があると主張している。一方の中国は、1982年の国連海洋法条約に基づくこの判決は無効だと主張している。

 

ジョー・バイデン米大統領をはじめとするアメリカの当局者らは、アメリカとフィリピンが互いに武力攻撃を受けた際に防衛し合うことを定めた米比相互防衛条約は、南シナ海での攻撃にも適用されると繰り返し中国に警告している。

現状が変わることへの期待は薄い

フィリピンと中国の当局者は1月17日、南シナ海での緊張緩和や武力行使の回避について協議を行った。だが双方とも、領有権を争う姿勢を変えるつもりはない。

フィリピン沿岸警備隊のジェイ・タリエラ報道官は地元メディアに対して、中国との協議に「大きな期待を寄せて」いるものの、現状が大きく変わることは予想していないと述べた。

本誌はこの問題についてフィリピン軍と中国外務省に書面でコメントを求めたが、返答はなかった。


マイカ・マッカートニー


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