中国は経済危機を隠蔽している──騙された若年層
ニューズウィーク日本版 / 2024年1月29日 16時19分
中国が厳しい「ゼロコロナ政策」をやめたのは昨年1月のこと。専門家は、労働需要が上向くことで若年層の失業率も3%ほど下がるのではと予想していた。
だがウェイは、多少回復したところで、若者が大挙して大学を卒業する夏が来れば、増加分が相殺される可能性があると指摘した。
今回の統計手法の変更で一番得をするのは中国共産党の上層部だと、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院中国研究所所長のスティーブ・ツァンは本誌に語った。
新しい統計手法は「中国の経済と社会に関する共産党の主張の裏付けとなり、習近平(シー・チンピン)国家主席の言う『チャイナドリーム』の追求に向けて国を団結させることにつながる」とツァンは語った。
だが、統計を愛国主義的に飾ったところで「経済が勢いを取り戻す助けにはならないだろう」とツァンは述べた。
ツァンによれば、最も効果の見込める景気刺激策は、最もカネを使いそうな層──中国においてはZ世代──にカネを回すことだ。
だが習はそうはせず、工業やインフラに投資するという政府主導のやり方を選んだとツァンは言う。
「カネは消費者には回らなかった。医療や社会的セーフティネットといったサービスにも回らなかった。そこに回せば比較的貧しい層が病気などの非常時に備えて貯蓄しなくても済むはずなのに」
職を求める若年層の不満材料は他にもあると、米ノースウェスタン大学のナンシー・チエン教授(経済学)は昨年秋に指摘した。就職先として人気の高かった大手テクノロジー企業や私立学校に対する習政権の規制強化がその一例だという。
昨年春、中国国務院(内閣に相当)は、雇用安定化策を発表した。
この中には、少なくとも100万人のインターン受け入れや、国有企業による雇用拡大支援、失業登録した16〜24歳の若者を雇用した企業には1回限りの補助金を支給するといった対策が含まれている。
マイカ・マッカートニー(台北)
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