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月面着陸成功「SLIM」が復活! 月の謎を解明する「エクストラサクセス」達成に期待膨らむ

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月30日 14時45分

SLIMの「復活」は、月の夕方になって太陽が西に来て、西向きの太陽電池パネルに太陽光が当たり発電を開始する可能性にかかっていました。

現実的なタイムリミットは1月中でした。というのは、①着陸直後から続く昼のため、電気系統は100℃以上の高温に耐える必要があり、耐久性は日に日に失われる、②2月1日には月の日没を迎えて夜になる、③月は高温の昼だけでなく、夜もマイナス170℃以下となる苛酷な温度環境のため、機体の電気系統が「越夜」することは想定されていない、からです。

SLIMには縦29.7センチ、横27.1センチ、厚さ0.25ミリのシート状の太陽電池が26枚搭載されています。総出力は約540ワットで、従来のものと比べて約5分の1に軽量化されているため総重量は約1.07キロに抑えられています。

開発を担ったのは、日本の電気機器メーカーのシャープです。宇宙空間でのミッションのため曲げても割れない柔軟性と衝撃への強さを併せ持ち、マイナス198度からプラス160度まで耐えられる太陽電池を作製したといいます。同社は電源復旧を受け、「歴史的な成功の一助となれたことを大変光栄に思う」とのコメントを発表しました。

ようやくアレ俺が言えてよかった https://t.co/8M5WjT0zhH— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) January 29, 2024

JAXAは月面着陸ミッションについて、事前に達成度に応じて「ミニマムサクセス」「フルサクセス」「エクストラサクセス」の3段階に分け、それぞれに1~4つの目標項目を設けていました。

「ミニマムサクセス」では画像照合航法の開発と検証、「フルサクセス」では目標地点から100メートル以内のピンポイント着陸を実施し、着陸後も探査機が機能を維持することなどが掲げられており、「エクストラサクセス」では、SLIMの月面着陸後、日没までの一定期間、ミッションを行うことが達成目標となっていました。ですから電力復旧後、月の起源を探る調査が一定期間できれば、エクストラサクセスの達成となります。

 「フルサクセス」までの目標項目はJAXA自身が他の機関や企業と行うミッション、「エクストラサクセス」の目標項目は科学者に研究機会を与えるミッションとも言えます。エクストラサクセスを達成すれば、宇宙工学だけでなく惑星科学にも大きく寄与します。

今後は、画像によるカンラン岩の成分解析や、SLIMがどうやって太陽電池を横向きにした姿勢になったかの解明などが進められていきます。まだまだ月面着陸関係のニュースから目が離せませんね。

20日の月面着陸直後に低解像度で撮影された6つのカンラン岩候補
おはよう #SLIM マルチバンド分光カメラのファーストライト観測対象岩石には、相対的な大きさがイメージしやすいように、犬種の愛称が付けられていますトイプーを観測した画像が公開されていますね https://t.co/vqD04eV16R pic.twitter.com/24oIK6Tl8n— Lunar Polar Exploration@JAXA(LUPEX) (@lupex_jaxa) January 28, 2024

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