ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「極超音速ミサイル搭載艇」を撃沈...当局が動画を公開
ニューズウィーク日本版 / 2024年2月2日 20時23分
<ロシア海軍「黒海艦隊」の極超音速ミサイル搭載コルベット艦「イワノベツ」を、ウクライナ海上ドローンが攻撃、撃沈させた>
ロシアの実効支配下にあるクリミア半島で1月31日、ウクライナ軍がロシア海軍「黒海艦隊」の極超音速ミサイル搭載コルベット艦を撃沈したことが分かった。ウクライナ国防省は攻撃の様子を捉えた動画を公開したが、そこには水上ドローンによるものと思われる攻撃でロシア艦が何度も爆発を起こし、最終的に船首を海上に突き出した格好で沈没していくシーンが収められている。
■【動画】水上ドローンの突撃攻撃で大爆発...露「極超音速ミサイル搭載感」を撃沈させる「攻撃映像」
同省の発表によれば、ウクライナ軍がクリミア半島南部セバストポリにあるロシア海軍の主要基地に近いベルベク軍用空港を攻撃した際に、ロシア海軍のミサイル艇「イワノベツ」も攻撃・破壊したという。
同省はソーシャルメディアに「今日の沈没船!」と投稿し、さらに「ウクライナ国防省情報総局の特殊部隊『グループ13』の戦士たちが、ロシア黒海艦隊のミサイルコルベット艦『イワノベツ』を破壊した」と書き込んだ。
「船体に何度も直接攻撃を受けた結果、イワノベツは損傷を受け、船尾方向に傾いた後に沈没した。イワノベツの価格は約6000万~7000万ドルだ」と同省はつけ加え、「戦士たちよ、よくやった」と称えた。
ロシアはクリミア半島と黒海上空でミサイルを迎撃と主張
同省はまた、攻撃の瞬間を撮影したものとする動画を公開した。この動画の信ぴょう性やイワノベツを破壊したとするウクライナ側の主張について、本誌は独自に確認を取ることができず、ロシア国防省にメールでコメントを求めた。これまでのところ、ロシア側からの返答はない。
これに先立ってウクライナ空軍のミコラ・オレシチュク司令官は、作戦を実行した特殊部隊に感謝を表明していた。彼はソーシャルメディアに投稿した動画の中で、「(作戦に携わった)兵士たちは胸を張って帰ってくるだろう」と述べた。
ロシア国防省は、クリミア半島への攻撃を阻止し、クリミア半島と黒海の上空でウクライナ軍のミサイル20発を迎撃したと主張。ウクライナ軍のミサイルの破片がベルベク軍用空港近くの軍用施設の敷地内に落下したと述べたが、軍用機などが損傷を受けることはなかったという。
イワノベツの破壊・沈没のニュースは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって新たな打撃となる。プーチンが2014年に一方的にロシアに併合したクリミア半島の奪還を目指すウクライナ側は、今回の戦争で黒海艦隊を重要な標的としている。クリミアはロシア軍にとって、補給の重要拠点となっている。
クリミア奪還のための「黒海艦隊」非武装化作戦
ロシア黒海艦隊は戦争が始まってから、何度も大きな損失を被っている。2022年4月には旗艦であるミサイル巡洋船「モスクワ」が攻撃を受けた。2023年9月には、ウクライナ軍がセバストポリにある黒海艦隊本部をミサイルで攻撃し、報道によればこの攻撃でロシア海軍の幹部ら数十人が死亡。さらにこの数日前にはロシア軍の潜水艦が破壊された。
ウクライナ国防省に近い専門家らは以前、本誌に対して、ウクライナ政府はクリミア半島の奪還という最終目的に向けた取り組みの一環として、黒海艦隊の「非武装化」作戦に乗り出していると指摘していた。
イザベル・ファン・ブリューゲン
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