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大坂なおみが語る「だから私は心の問題を訴えた」

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月7日 15時54分

数年後、この対立劇について語ったなおみは、多くの記者会見はとても楽しかったと言った。ほかの場所ではめったにできないような、飾らない生の自分の言葉を話せたから。

「記者会見場では、私はすごくオープンなキャラクターになる。時には言うべきじゃないことを言ってトラブルになったことも。でも、それは私が記者たちを好きだから。彼らは知らないと思うけど、私は彼らと話すのが好きだし、質問を聞くのも好き。誰かが質問するほど私を気にかけてくれるのはクールなこと」

それまで安全だった空間が、新参者や非人間的なテクノロジーに侵害された──そう感じたときに初めて不安を感じ、心を閉ざしたくなったと、なおみは言う。

「自分が少し閉鎖的になり、性格が変わっていくのを感じた。それがとても嫌だった」

21年5月当時、なおみがこの視点で自分の考えを説明できていれば、全ての騒動はおそらく回避できたはずだ。

しかし、それ以前の数カ月、数年間のあらゆる経験が、なおみから自分の気持ちをそのようにはっきりと表現する力を奪っていた。

「あんなに精神的に消耗したのは初めてだった」と、彼女は振り返る。

テニスライターのハナ・ウィルクスはこう書いている。

「鬱や不安に悩まされた経験がない人間には、不思議に感じられることがある。それは助けやサポート、休息を求めることが最も緊急に必要なとき、それらを最も必要としているときは、自分が必要なことを伝える能力が最も低いときでもあるという事実だ」

<本誌2024年2月13日号掲載>

ベン・ローゼンバーグ(ジャーナリスト)


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