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ドローンが救った絶望的状況のウクライナ兵...前線からの「奇跡の脱出劇」

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月8日 17時40分

@olivyelekur-X

<ウクライナ国境警備当局のインタビュー動画は、同局のソーシャルメディアに掲載されている>

ウクライナ国境警備当局は2月5日、負傷した国境警備兵がウクライナ軍の航空偵察隊に救出される瞬間をとらえた映像を公開した。同隊はドローンを使って負傷した警備兵をロシア軍から引き離していた。

【動画】ドローンが救った絶望的状況のウクライナ兵...前線からの「奇跡の脱出劇」

映像の中で国境警備兵のセルヒーイ・クピンは、ルハンスク州スバトボに近い前線で戦闘中に片脚を負傷したと語っている。ウクライナ国境警備当局によると、クピンは同地でロシア軍の拠点の至近距離に取り残され、無事に脱出するのはほぼ「不可能」と思われた。

だが上空から偵察したところ、ロシアの部隊から100~200メートルの距離にいたとされるクピンを第68独立猟兵旅団の航空偵察隊員が発見した。「ラグ」のコールサインで呼ばれるこの隊員は、負傷した警備兵のいる場所へ無人航空機を飛ばし、温かい紅茶とともに、クピンに安全を知らせるメモを投下した。

「ドローンは降下して『観察』すると、飛び去った」。ウクライナの英字紙キーウ・ポストの字幕によると、クピンは映像の中でそう語っている。「再び戻って来たドローンは、何かを運んでいた。自分はこれで終わりだと思った」

だが無人機が運んでいたのはメモ書きだった。「友よ、飲め、そしてドローンに続け」。負傷していたクピンは、ドローンを追って地面をはい進み、約700メートル移動。ウクライナの部隊が到達できる場所にたどり着き、無事に戦場から運び出された。

「みんなが自分を置き去りにしなかったことに心から感謝している」「みんなのおかげで自分は生きていられた」とクピンは振り返る。ウクライナ国境警備当局のインタビュー動画は、同局のソーシャルメディアに掲載されている。

動画には、クピンが最初に発見された際にドローンの感熱カメラがとらえたと思われる白黒映像も収録されている。クピンは何らかの構造物の陰に身を潜めていた。国境警備隊局はまた、部隊がついにクピンに到達した瞬間と、戦場から運び出す際の映像も公開した。クピンは今も病院で治療を受けている。

本誌はウクライナ国防省に電子メールでコメントを求めている。

ウクライナのドローンは、ロシアの侵攻から同国を守る上で重要な役割を果たし、救出活動にも活躍している。第95独立空中強襲旅団が1月に公開した動画によると、戦場で負傷してロシアの捕虜となった別のウクライナ兵は、無人航空機を使って安全な場所まで誘導した。この兵士はロシアの塹壕にいるところを、ウクライナ軍パラシュート部隊の隊員に発見された。

(翻訳:鈴木聖子)



ケイトリン・ルイス

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