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欧州ワインに明暗 若者のワイン離れ進むフランス、ワイナリーツアーが盛り上がるスイス

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月9日 13時5分

ノンアルコールワインへの期待

そのような流れを受け、2020年にはワインの名産地ボルドー近郊にノンアルコールワインやノンアルコールビールを扱う店が登場し、パリでも2022年に初めてノンアルコール飲料専門店がオープンした。昨春には、ナントにもノロ飲料専門店がお目見えした。

一部のワイン生産者はノンアルコールワインの生産に積極的だ。ノンアルコールワイン市場は2022年に7%の増加を見せた。2032年までにはさらに11%増加すると予想されている。ノンアルコールワインの市場規模はまだかなり小さいが、フランスのワイナリーは脱アルコールワインにも活路を見出していくのかもしれない。

ワインツーリズムが充実のスイス

2023年秋に実施された「Am Puls der Ernte」の様子 © Swiss Wine Promotion

九州ほどの大きさのスイスでは、ワイン生産は全国に広まっている。生産量は白赤おおよそ半々だ。ぶどう品種は、白はシャスラ(スイスではフォンダンと呼ぶ地域もある)、赤はピノ・ノワールが代表的。ピノ・ノワールで白ワインも作られたり固有品種のワインもあり、追求してみるとなかなか面白い。

生産量トップの地域は、スイスを象徴する山マッターホルンがある南部のヴァレー州。2番手は西部のレマン湖地方で、一部のワイン畑がユネスコの世界遺産になっている。フランスやイタリアのようにスイスにもワイン好きが多い*が、ワイン生産量は少なめ。ほとんどが国内で消費され、輸出量は1%前後のみだ。生産にコストがかかりワインが高価なことも、輸出が抑えられている理由だろう。スイスでも輸入ワインは流通している。(*国民一人あたりのワインの年間消費量の世界ランキングで、スイスは第4位)

スイスの観光というと、雄大な山々の景色を鉄道やケーブルカーでめぐったり、大自然でハイキングを楽しむことが有名だが、実はワイン観光も充実している。ワイン畑の間をバスやEバイクや徒歩で回ることができ、ワインセラーでの試飲ツアーも多い。地元のワインを何百種も集めたワインセンターやワインの美術館もある。

最近人気を博しているのは、数年前から始まった秋の週末4日間のイベント「Am Puls der Ernte」だ。16歳以上なら誰でも申し込み可能で(参加費40フラン、約6800円)、全国のワイナリーでワインの製造(ぶどう収穫、工場見学、試飲。昼食付)を体験できる。昨年はおよそ950人が参加したそうだ。

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