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傷ついて「帰国」したハイマース2台、ロシアにやられた初めての証拠か

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月14日 16時8分

これまでロシア軍に傷つけられた証拠は1つもなかったハイマース(2023年8月,ポーランド) REUTERS/Kacper Pempel/File Photo

<トラックの荷台に載せたランチャーから多くのロシア兵器を破壊してきたハイマース、修理のための帰国とされる動画が初めて公開された。もし本当なら、ロシア軍がハイマースに傷をつけた最初の証拠になる>

損傷を受けた2台の「ハイマース(HIMARS)」が、修理のためにウクライナから米国に到着したところと見られる新たな動画が浮上した。ウクライナが運用する高機動ロケット砲システム(ハイマース)が損傷を受けたことを示す最初の証拠になりそうだ。

【動画】傷ついたハイマースの帰国

問題の動画は、オープンソースのインテリジェンス・アカウントがソーシャルメディア上に掲載したもので、大型の戦略輸送機に積まれた2台の「M142ハイマース」が、ペンシルベニア州の空港に到着したところとされている。

ハイマースのうち1台は、爆弾の破片による損傷を受けたように見える。もう1台はキャビンが大きく損傷し、片側の車輪ひとつがなくなっているようだ。あるオープンソースのアナリストは、ウクライナで地雷を踏んだ可能性があると推測しているが、確認できていない。

ニューズウィークは、ウクライナ軍と米国防総省にEメールでコメントを求めている。

激化するロシアのドローン攻撃

この動画は、たしかに2台のハイマースを映しているように見えると語るのは、キングス・カレッジ・ロンドン戦争学部の博士研究員マリーナ・ミロンだ。ロシア軍は、複数地域でウクライナの前線突破に力を入れていたことから、少なくとも1台のハイマースを損傷もしくは破壊した可能性はある、とミロンは本誌に話した。

ロシア軍は、偵察ドローン「オルラン10」や徘徊型自爆ドローン「ランセット」などの使い方が上手くなっており、ウクライナの装甲車両や兵器の攻撃能力は、以前よりもはるかに高まっているとミロンは続けた。

ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した2022年2月以降、米国は、440億ドルを超える武器支援の一環として、ハイマース39台をウクライナに供与した。ハイマースは2022年夏以降、ロシアの軍事基地やインフラ、弾薬庫といった重要資産を攻撃し、活躍した。

ハイマースは、トラックの上に搭載する最新鋭ミサイル発射装置で、移動しながら標的を絞ることができる。

ロシアは頻繁に、戦場でハイマースを破壊したと主張してきた。ただし、ロシア政府のそうした主張が裏付けられたことはこれまで一度もない。

今回の動画が事実だと確認されれば、ウクライナは、戦線が膠着して厳しい時期にハイマース2台を使用できないことになる。現在の戦闘では、ドネツク州の荒廃した都市アウディーイウカ周辺でロシア軍が徐々に陣地を取り返しているほか、ルハンシク州とハルキウ州周辺の前線もじりじりと押されている。

ウクライナの重要拠点アウディーイウカに対してロシアが攻撃を開始してから4か月以上が経過したが、現在もアウディーイウカ周辺では激しい戦闘が続いている。ロシア軍は、多大な人的犠牲を払いながらも徐々に前進し、居住地を包囲し、西からこの都市まで延びるウクライナの重要な補給線を分断しようとしている。

(翻訳:ガリレオ)

エリー・クック

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