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プーチンの誤算、傷だらけでクリミア半島から逃げ出す黒海艦隊

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月6日 17時22分

GURはソーシャルメディアへの投稿で、この艦船は「船尾、右側面、左側面に損傷を受けた」と付け加えた。

イギリスのグラント・シャップス国防相は昨年12月、ロシアは過去4カ月で黒海艦隊の20%を失ったと述べ、「ロシアの黒海における優位性は、今や疑わしい」と、語っている。

海軍のドローンと西側から供与された巡航ミサイルを駆使するウクライナの執拗な攻撃は、ロシア海軍を黒海の東に押しやり、クリミア半島周辺のロシア占領地域の安全を脅かしている。

「ロシアは東に移動するしかない」と言うのは、ウクライナ軍トップの元特別顧問で、現在はアメリカン大学キーウ校の学長を務めるダニエル・ライス。だが、そうすることでロシアはクリミアに対する支配力を失うことになる、と彼は本誌に語った。

 

ロシアは黒海東部の港湾インフラの拡張を余儀なくされているが、それはクリミア周辺の施設(セヴァストポリにある基地や軍港など)が危機に瀕しているからだ、とマレットは言う。

ロシアは、ロシア領内と国際的に認められている黒海の港湾都市ノボロシスクにクリミアの資源の一部を移している。一部報道によれば、ロシアはジョージア領内で事実上の独立状態にあるアブハジアのオチャムチレ港に新たな軍事基地を計画しているともいう。そうなれば、黒海におけるロシアの部隊はウクライナの海岸線からさらに遠ざかることになる。

ロシアは新型の主要艦船をクリミアに留めておくことを非常に警戒するようになり、数隻をノボロシスクに移した、とリジェンコは言う。

黒海はグレーゾーンに

「侵攻前のロシアの基本的な前提は、領空の支配と黒海における海軍力の支配の2つであったはずだが、どちらも失った」と、ライスは言う。

ウクライナは黒海経由で何百万トンもの穀物を輸出することにも成功している。

だが、これはウクライナがこの周辺地域を支配下においたことを意味するものではない。ウクライナのせいで北西の隅では動きがとりにくくなっているとはいえ、ロシアは依然として黒海の大部分を支配している、とリジェンコは言う。黒海の一部が「グレーゾーン」になり、どちらの国が支配しているとも言えなくなった段階だ、と彼は言う。



エリー・クック


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