NATO、ロシア国境近くに防空システムを配備
ニューズウィーク日本版 / 2024年3月11日 15時24分
<「次の標的」を懸念するバルト3国の声に応え、地対空ミサイルなどを配備へ。大規模な演習も進行中だ>
NATO諸国が、バルト海に面したリトアニアに防空システムを設置する。ロシアの脅威に直面するリトアニアなどバルト3国の要望に応えたものだ。
リトアニアのアルビダス・アヌサウスカス国防相は3月7日の記者会見で、この防空システムの運用は年内に始まる予定だと述べた。NATOは昨年夏にリトアニアの首都ビリニュスで行われた首脳会議で、加盟国が順繰りにバルト諸国に防空システムを展開することで合意した。
アヌサウスカスは、第一弾としてリトアニアに防空システムを送り込むのがどの国になるかは明らかにしなかった。ただし、送り込まれる兵器に対空防衛システムのパトリオットで、それもパトリオットはアメリカではなく欧州のNATO加盟国から提供されると語った。
リトアニア国営テレビ・ラジオ局は「この運用が数カ月間、1度きりで終わるのではなく、継続的にわが国の防空能力を大幅に引き上げることが期待される」というアヌサウスカスのコメントを伝えている。
「NATOvsロシア」に拡大?
ロシアのウクライナ侵攻の行き着く先は、ロシア対NATOの大規模な戦争になるのではないか----そんな懸念の声が複数の欧州諸国から上がっている。ここ数カ月、NATOはロシアやベラルーシとの国境沿いの防衛システムの段階的な強化に努めてきた。ロシアと国境を接するポーランドや、リトアニアとラトビア、エストニアのバルト3国などの国々で、加盟32カ国全てから集まった9万人を超える兵士が参加する演習を行ってもいる。
NATO諸国の中でもバルト3国など一部の国々は、ロシアの次の侵攻に備えるべきだと強く訴えている。エストニアの情報当局は、ロシアが今後10年以内にNATO諸国に対する戦争を準備していると主張している。
ウクライナでの戦争が始まって以降、ロシアと欧米との緊張は高まったままだ。NATOはウクライナを支援する姿勢を堅持している。
一方でロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ政府にNATOが影響力を及ぼしていることを、侵攻に「踏み切らざるを得なかった」理由の1つとして挙げている。またプーチンは、ウクライナが中立維持に同意しない限り侵攻を終わらせるわけにはいかないとも述べている。
ロシア政府は欧米がウクライナの軍事能力を強化し、戦争を長引かせていると非難している。2月には、NATO加盟国が地上部隊をウクライナに送れば「一線を越えることになる」との警告も発している。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月、記者団に対し「ロシアがこの戦争に勝利するのを防ぐ」ためであれば「いかなるもの(選択肢)も除外すべきではない」と語ったことに対する警告だ。
ケイトリン・ルイス
この記事に関連するニュース
-
ミサイル迎撃の「劇的瞬間」と祝福の雄叫び...「普段着」のウクライナ兵がMANPADSで敵の攻撃を一蹴する衝撃映像
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月16日 20時55分
-
再び問われる「同盟の真価」 NATO首脳会議 中露の覇権行動を抑止せよ ロンドン支局長 黒瀬悦成
産経ニュース / 2024年7月12日 21時39分
-
NATO、ウクライナの防空強化 米大統領「対ロシア結束」誇示
共同通信 / 2024年7月10日 11時56分
-
NATO首脳会議が開幕 米欧、ウクライナに対空ミサイルなど数百基を追加供与へ
産経ニュース / 2024年7月10日 10時36分
-
情報BOX:ウクライナに来月F16到着、戦況は変わるか
ロイター / 2024年6月28日 18時46分
ランキング
-
1イスラエルの入植活動は国際法違反、ICJが勧告 イスラエル反発
ロイター / 2024年7月20日 1時26分
-
2バングラデシュ全土に夜間外出禁止令発出へ…政府はネットを遮断、デモ死者105人に
読売新聞 / 2024年7月20日 12時31分
-
3キーシン氏を「外国の代理人」指定…「我々はプーチンとその取り巻きより長生きする」とSNS投稿
読売新聞 / 2024年7月20日 17時2分
-
4バイデン撤退論が米民主党で急拡大、要求の議員計35人に 本人は選挙戦継続訴える
産経ニュース / 2024年7月20日 8時41分
-
5世界的システム障害、復旧になお数日か 米政権も調査に
ロイター / 2024年7月20日 6時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください