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ロシア大統領選での圧勝はなぜプーチン凋落の始まりか

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月18日 17時21分

ジョー・バイデン大統領はロシアがウクライナの後に他の国々への侵攻を視野に入れていると主張し、プーチンはそれを「全くのナンセンス」と否定した。だが戦争が終わったときに、ロシアの指導者としてプーチンは国民に何を勝利として示そうとするのだろうか。

「プーチンは、コストがあまりにも高くつくことから、ウクライナ全土を奪おうとは考えていない」と言うのは、米国防総省の政策顧問を務める元外交官ミエテク・ボドゥシンスキだ。

「むしろロシアが現在支配しているウクライナの国土の一部を、ロシアの飛び地として維持しようとするだろう。そうすることで、ウクライナを分裂させ、弱体化し、NATOやEUに加盟しにくくすることを狙っている」

「プーチンがNATOと本格的に通常戦争を始めることを望んでいるとは思わない。だが同盟にくさびを打ち込み、偽情報やサイバー攻撃のような手段を使って、NATO諸国に代替戦争を仕掛ける方法を求め続けていくだろう」とボドゥシンスキは、付け加えた。

プーチンは、民間軍事会社ワグネルを率いたエフゲニー・プリゴジンの反乱を阻止することができた。しかもこのところ戦場でロシア軍が勢いを増していることから、幸運に恵まれたと感じているかもしれない。また、ロシアで最も有名な反体制指導者のアレクセイ・ナワリヌイは大統領選の数日前に刑務所で不審死を遂げた。今度も、反プーチン派に対する弾圧の強化が予想される。

 

「ロシア国内で予想されるのは、さらなる弾圧であり、政権のメッセージに反する情報を遮断しようとする取り組みの強化だ。ソーシャルメディアプラットフォームへのアクセスをさまざまな形で妨げようとする可能性がある」と、『プーチン主義の掟』という著書があるニューヨーク州立シラキュース大学のブライアン・テイラー教授(政治学)は言う。

「この24年間、プーチンの軌跡はほぼ一方向にしか向かっていない。それは自由が減り、抑圧が強まる方向だ」とテイラーは本誌に語った。

だがプーチンの勝利が必ずしも大統領として6年の任期に支障がないことを意味するわけではない。欧米からの経済制裁の影響はロシア経済に打撃を与え続ける上、ウクライナ東部の工業都市アウディーイウカで戦ったような激戦でロシア側が莫大な人的損失を被り続ければ、プーチンの支配を脅かしかねない。

プーチンに出口はない

「あと5回もこんなことをすれば、すでに大きな負担を強いられているロシア社会は深刻な打撃を被るだろう」と、プーチン政権に批判的なシカゴ大学ハリス公共政策大学院のコンスタンチン・ソニン教授(経済学)は指摘する。

「選挙がそれほど重要だとは思わない」と、彼は本誌に語った。「ミハイル・ゴルバチョフは就任1年目でソビエト連邦の大統領としての権力を失った。プーチンが再選されて、もう1期務めることになっても、政権は安泰ではない。毎年、危機は訪れる」
「プーチンには出口がない。戦争を止めることも、弾圧を止めることもできない」



ブレンダン・コール


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