ウクライナ軍のドローンに悩むロシア黒海艦隊...「地面に艦船の絵」を描いて敵の目を欺く新作戦を決行
ニューズウィーク日本版 / 2024年3月24日 7時30分
ウクライナは以前にも、黒海艦隊旗艦「モスクワ」を対艦ミサイルで撃沈している。また2023年9月には、クリミア半島のセヴァストポリ港に停泊していたロシアの軍艦と潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌ」を攻撃するため、西側諸国から供与された長距離空中発射ミサイルを使用したと報告している。ウクライナは当時、ロシアにとってロストフ・ナ・ドヌの損失はとても不名誉なことだと述べていた。
ウクライナは、ロシアの黒海艦隊を東に移動させることに成功しており、ロシアは資源の一部をノヴォロシースクに移した。ノヴォロシースクは、国際的に認められたロシア領に位置する黒海の港湾都市で、ウクライナ沿岸海域から遠く離れている。元ウクライナ海軍大佐のアンドリー・リチェンコは3月、ロシアは新しい主要艦船をクリミア半島に置くことに慎重になっており、数隻をノヴォロシースクに移したと本誌に語った。
ロシアはペンキ以外にも艦船を守る「武器」を準備
黒海艦隊をさらなる損失から守ろうとするロシアは、ペンキで艦船を偽装する以外にも、広範な動きを見せている。ロシア国防省は3月17日付の声明で、セルゲイ・ショイグ国防相が「敵のドローンを破壊するため、火器や重機関銃の追加設置を命じた」と報告している。
この新たな武器は、「敵によるテロ攻撃を撃退するための」「昼夜にわたる」新たな訓練プログラムとともに、「船舶の存続能力を高める」助けになる、と声明には書かれている。
グラント・シャップス英国防相は2023年12月、ロシアは過去4カ月で黒海艦隊の20%を失ったと述べ、「黒海におけるロシアの優位は揺らいでいる」と分析した。英国政府は3月20日付の分析で、ロシアは航空機でも同様の戦術を採用しており、航空機の翼に複数のタイヤを置いたり、デコイを使ったりしていると補足した。
ただ、空と水上の資産を守ろうとするこうした努力にもかかわらず、「ロシアの航空機が、通常兵器による攻撃に対して脆弱であることは変わりなく、黒海での作戦に従事するロシアの艦船も、依然として脆弱だ」と、英国防省の分析には書かれている。デコイ作戦や、航空機・船舶を偽装しようとするロシアの試みは、「損失の大幅な減少にはつながらないだろう」と分析されている。
(翻訳:ガリレオ)
エリー・クック
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