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ハマステロ関与の国連組織への「資金拠出」再開へ...「ちょろすぎる」日本が見落とすガザ問題の根深さ

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月30日 15時38分

アメリカの政府関係者は、「ハマスのメンバーは、UNRWAが活動を行うすべての部門で重要なポジションに就いている。イスラエルに対するテロ活動に積極的に関与し、10月7日のイスラエルへのテロ攻撃に積極的に参加していた者もいる」と語る。さらにその事実を、UNRWAも認識していると言う。

筆者が入手した西側情報当局などが関わった今回のハマスのテロに関する報告書によれば、10月7日の大規模テロに参加していたメンバーで、UNRWAが雇っていたテロリストたちは、「ソーシャルワーカー」「学校の校長」「副校長」「小学校教師」「算数教師」「アラビア語教師」「学校のカウンセラー」「ヘルスセンター職員」などだ。

ガザの教科書に書かれた過激な記述「爆弾ベルトを付けてユダヤ人の戦車に火をつけろ」

そしてUNRWAの1万3000人の職員のうち、2100人以上がハマスのメンバーだったと、この報告書は指摘する。UNRWAの実に17%がハマスのメンバーということになり、さらに、先に述べたイスラエル軍のハガリ海軍少将の指摘のように、2100人とは別の約480人が戦闘員だったという。

UNRWA本部もハマスの地下トンネル網に繋がっていた

しかもハマスの組織内でも要職に就いている者も多く、その多くが学校の校長などの表の顔をもっていたことが判明している。そんなことから、学校自体が、ハマスの地下トンネルの一部に繋がっていたケースもある。つまり、国連職員の顔をしながら学校を仕切り、学校自体をテロ組織の隠れ家や武器などを保管する倉庫のように使っていたと見られている。

UNRWAの本部自体も、ハマスの地下トンネル網に繋がっていた。そう考えると、UNRWAが何も知らなかったという言い訳は通らないだろう。そして一部の職員らを追放したところで、UNRWAには深くハマスのメンバーなどが浸透しているため、状況が変わるとは思えない。ガザでは過激派テロ組織が、非常に根深く国連の人道支援組織に浸透しているのである。

さらに筆者は、イスラエル政府が2011年と2012年に、UNRWAに提供した公式文書を入手した。そこには、UNRWAが当時の時点で雇っていたと判明していたハマスのメンバー10人以上の名前や個人情報が記載されている。

ところが、UNRWAは当時、この書簡に無視を決め込んで、何ら対処をしなかった。当時、きちんと対処していれば、2023年10月のテロや、その後のイスラエルによる報復攻撃も起きなかったかもしれない。つまり、多くの命が失われることを避けられたかもしれない。また多額の援助で行われていたガザ市民のための人道支援が武装勢力に悪用されることもなかっただろう。

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