中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略がプーチンを窮地に追い込む
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月3日 16時58分
<中国と国境を接する極東ロシアに流入する中国農民が地元住民を圧倒し、人民元依存で経済の舵取りができない>
国際舞台ではロシアとの「無限の協力関係」を喧伝する中国が、ロシア極東の一部を静かに乗っ取ろうとしている。
日本経済新聞によれば、極東の沿海州(プリモルスキー州)の国境地帯では中国人農民が急増しており、その経済的影響力は地元住民を圧倒している、という。
1860年に清朝がロシアに割譲したこの地域は、中国の政策立案者やナショナリストの関心の的となっている。昨年、中国は国内の地図に沿海地方の行政の中心地であるウラジオストクの中国語名であるハイシェンワイの他、7つのロシア極東部の中国語名を記載するよう定めた。
「永遠の兄弟」中露の力関係は完全に逆転... 中国が「大兄」でロシアは「弟」【注目ニュースを動画で解説】
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナは常にロシア国家の一部だったと主張するのと同じように、中国の習近平国家主席は、失われた領土の回復を「中華民族の偉大な復興」の最優先課題に挙げている。
中国はいつの日か、台湾を自国の領土として統一すると公言している。また、「歴史的権利」として南シナ海の大半の領有権を主張し、フィリピンや他の近隣諸国と対立している。
ロシア国境と接する中国東北部黒竜江省の鶴岡市はかつて石炭の産地として栄えたが、経済の先行きは暗い。そんななかで、これからも多くの中国人農民がロシアに向かうかもしれない、と日経はさらに報じた。
地元の生活を変える中国人移民
「ロシア極東地域における『黄禍論』的な不安は今に始まったことではない。何世紀とは言わないまでも、それが何十年も存在してきたのは、国境の両側の人口バランスが大きく崩れているためだ」と、米シンクンタンク、スティムソン・センターの中国プログラム責任者ユン・スンは本誌に語った。
「中国人の流入はロシアの支配を脅かしかねない。まだ主権の問題が交渉のテーブルにのぼる段階ではないと思うが、現地の中国人農民をどう管理するかは厄介な問題になるだろう」。
学術雑誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・エコノミクス・アンド・ソシオロジー」に掲載された2021年の研究では、中国人農家の存在や、中国人所有企業との取引が、地元農家の所得を押し上げるケースもあることがわかった。
ウクライナ侵攻で西側から経済制裁を受け、銀行の国際決済網SWIFT(スイフト)から排除されているロシア経済を戦時需要とともに支えているのは、中国との貿易だ。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
BRICS首脳会議、SWIFT代替機構の創設には踏み込まず(ロシア、アラブ首長国連邦、インド、イラン、エジプト、エチオピア、中国、ブラジル、南アフリカ共和国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月5日 0時30分
-
BRICS、「パートナー国」創設で拡大へ(世界、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国、アラブ首長国連邦、イラン、エチオピア、エジプト)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月31日 1時30分
-
なぜ人民元は世界の投資家の人気を集め始めたのか―中国メディア
Record China / 2024年10月25日 8時0分
-
BRICSが米ドル代替との見方に疑問=名付け親のオニール氏
ロイター / 2024年10月24日 13時57分
-
BRICS首脳、制裁撤廃要求 共同穀物取引所や越境決済で合意
ロイター / 2024年10月24日 10時36分
ランキング
-
1“長距離ミサイル攻撃”駐日ロシア大使が批判…西側諸国が「露と戦うということ」
日テレNEWS NNN / 2024年11月21日 18時11分
-
2ロシアがわずか1000km先にICBM発射情報、アメリカへ「核攻撃いとわない」警告か
読売新聞 / 2024年11月21日 20時1分
-
3対人地雷供与はロシアの戦術変更に対応するため 米国防長官
AFPBB News / 2024年11月21日 14時9分
-
4ザビエルの遺体に祈り、インド 10年に1度の一般公開
共同通信 / 2024年11月21日 19時49分
-
5ウクライナ和平案、ロシアは現実的なものなら検討=外務省報道官
ロイター / 2024年11月21日 18時33分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください