ドイツ空軍ユーロファイター、緊迫のバルト海でロシア軍機に緊急発進
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月8日 14時45分
<スウェーデンのNATO加盟により、バルト海沿岸の大半を西側に奪われたロシアが、過去1年で300回もバルト海で怪しい飛行を繰り返している>
ドイツ空軍は6日、ロシア軍機が1機、トランスポンダー(飛行位置や識別情報などを知らせる装置)を切った状態でバルト海上空を飛行したため、戦闘機ユーロファイターが一時、迎撃態勢に入ったと明らかにした。
ドイツ空軍のソーシャルメディアへの投稿によれば、ユーロファイターはラトビアの首都リガの南東にある町、リエルバルデから飛び立ったという。
問題のロシア軍機はIL20情報収集機。ドイツ空軍によれば、航空機の身元と飛行経路を追跡するために必要なトランスポンダーを切った状態でバルト海上空を飛行していたという。
本誌はロシア国防省に電子メールでコメントを求めたが回答は得られていない。
ヨーロッパ北部のバルト海は現在、大部分をNATO加盟国によって囲まれている。例外はポーランドとリトアニアに挟まれたロシアの飛び地、カリーニングラードだ。ここにはロシア軍の大きな基地があり、ロシア海軍のバルチック艦隊司令部が置かれている。
スウェーデンが3月初めにNATOに加入したことで、バルト海の北側と西側におけるNATOのプレゼンスは強まっている。
ドイツ空軍は 1月下旬にも、ロシアのIL20がトランスポンダーを切った状態でバルト海南部の国際空域を飛行していたため迎撃態勢を取ったと明らかにしている。IL20が「東に進路を戻すまでの短い時間、(NATO機が)近くを飛行した」という。
類似の事象は「1年間に300回以上」
フランス軍も2月末に、ロシアのIL20がエストニア沖を飛行していたため、ミラージュ2000-5戦闘機で迎撃態勢を取ったと明らかにしている。
NATOが1月に明らかにしたところによれば、欧州の加盟各国の空域にロシア軍機が接近したために迎撃態勢が取られた回数は、過去1年間で「優に300回を超えた」という。その多くがバルト海上空だったという。
NATOによれば「ロシア軍機が加盟各国の空域に予測不可能な方法で接近する様子を見せた場合」にはスクランブル発進を行うという。
2021年2月に始まったウクライナ侵攻をきっかけに、多くの国々、特に欧州諸国は安全保障政策や国防費の見直しを行った。NATOはロシアとウクライナに近い地域により多くの兵力を投入するようになった。
NATOは地上を拠点とした防空ネットワークに加え、戦闘機の配備数と偵察飛行の回数を増やしてこの地域における防空能力を増強したとしている。
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