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大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア黒海艦隊「主力不在」の実態

ニューズウィーク日本版 / 2024年4月15日 20時55分

クリミアのセバストポリ港で行われたロシア軍の海上軍事パレード(2020年7月26日) Alexey Pavlishak-REUTERS

<ロシアが黒海の主導権を確保できていないことを示す新たな証拠か>

最近撮影された衛星写真によると、ウクライナのドローンやミサイル、特殊部隊による定期的な攻撃の圧力に押されてきたロシアの黒海艦隊は、クリミア半島の主要な海軍基地をほとんど放棄した模様だ。

【衛星写真】大半が撤退か...「もぬけの殻」となったクリミアの海軍基地

オープンソース・インテリジェンス(OSINT)の研究者MTアンダーソンはX(旧ツイッター)に、4月6日に撮影されたプラネット・ラボの画像を投稿した。黒海に面する3つの主要なロシアの海軍基地(クリミアのセバストポリ及びフェオドシヤと、クラスノダール地方のノヴォロシースク)が写っているものだ。

これらの画像は、ドローンや巡航ミサイルを使ったウクライナの度重なる攻撃の成功を受けて、黒海艦隊がその最も重要なアセットをクリミアの港からロシアの領海に引き揚げたという過去の報道を裏付けているように見える。

例えば、黒海艦隊の母港であるセバストポリには現在、小型ミサイル艇、掃海艇、対潜艦が配備されている。先週セバストポリで確認された最も重要な船舶には、タランタル型コルベットとクリヴァク型フリゲート各2隻がある。

本誌はこれらの画像を独自に検証できなかった。しかしこれらの画像は、ロシアが従来海軍力において圧倒的優位に立っているにもかかわらず、黒海の主導権を確保できていないことを示しているように見える。

ウクライナ保安庁(SBU)の元職員で、ウクライナ議会の国家安全保障・防衛・情報委員会の顧問を務めるイヴァン・ストゥパクは本誌に対し、「良いニュースだ」と語った。「クリミアはもはやロシア海軍にとって安全な避難場所ではない」

セバストポリは伝統的に、黒海地域におけるロシアの主要な戦力投射拠点として機能してきた。しかし、黒海艦隊司令部は2023年9月の巡航ミサイル攻撃で破壊され、重要な乾ドック施設も同月、攻撃型潜水艦、揚陸艦もろとも巡航ミサイルで破壊された。

セバストポリの約160キロ東にあるクリミアのフェオドシヤ港も攻撃の的となっている。ウクライナは23年12月、フェオドシヤの揚陸艦を巡航ミサイルで撃沈したと発表した。今回公開された最新の衛星画像によれば、フェオドシヤには現在、目立ったロシアの軍艦は存在しないようだ。

ロシアの主要艦船のほとんどはノヴォロシースクに移動させられたと報じられている。フェオドシヤからさらに160キロ以上東に位置するロシア領海のこの港を攻撃することは、23年8月に成功しているものの、ウクライナ軍にとっては困難なことだ。

黒海艦隊の残された主力艦と潜水艦のほとんどがノヴォロシースクに集結しているとみられる。そのなかには、キロ型潜水艦3隻とアドミラル・グリゴロビッチ級フリゲート1隻が含まれる。このフリゲートはおそらく、2022年4月にミサイル巡洋艦「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイルに撃沈された後、黒海艦隊の旗艦となった「アドミラル・マカロフ」だ。

ウクライナ海軍の報道官ドミトロ・プレテンチュクは10日、ウクライナ・メディアセンターの記者会見で、「彼ら(ロシア軍)はすべての戦艦をノヴォロシースクに集結させている」と述べた。「クリミアに残っているのは、修理中の艦船(少なくとも15隻)か、他の基地に移動させる機会のないものだけだ」

(翻訳:ガリレオ)

デービッド・ブレナン

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