対イラン報復、イスラエルに3つの選択肢──核施設攻撃か、重要人物暗殺か、ハイテクで恥をかかせるか
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月16日 18時39分
それでも、イランが自国領土から直接イスラエルを攻撃するという、歴史的な一歩を踏み出したことを受けて、ネタニヤフは、自らが率いる戦時内閣内の強硬派からかなりの圧力にさらされている。
「その選択肢を選んだものの、結果的にそれでは不十分だった場合に、弱腰と受け止められるおそれがある」と、CNAS所属の専門家、ロードは指摘した。
イランは先週末のイスラエルに対する直接攻撃で多くの兵器を使用した。米軍高官によれば、イランはイスラエルに向けて100発以上の弾道ミサイル、30発以上の巡航ミサイル、150機以上の攻撃用ドローンを発射した。
元米中央軍司令部長のマッケンジーによれば、イランはイスラエルを攻撃するのに十分な射程を持つ特殊なミサイルを保管庫から持ち出し、地域戦争に備えた兵器庫のかなりの部分を消耗してしまったという。「イスラエルを攻撃するための弾道ミサイルの大部分は使い果たした」
しかし、イランが自国の火力でイスラエルに対抗するためのより重要な課題は、ミサイル発射装置の不足である。マッケンジーによれば、イランはこの種の攻撃を行うためのミサイル発射装置を300基ほどしか保有しておらず、この地域で大規模な攻撃を行うには大きなボトルネックになるという。
反面イランは、ハイテクを駆使したロシア製の防空システムによって、イスラエルの攻撃を阻止する能力を十分に持っている。チャタムハウスのサーブ研究員は、「イランは、イスラエルの第5世代戦闘機には太刀打ちできない」と言う。「しかし、彼らの防空システムはただ事ではない」
今のところは両陣営とも、最悪のシナリオを恐れて手をこまねいているようだ。「500人のイスラエル人を殺し、F-35を爆破し、シナゴーグを攻撃したら、イランはどんな目に遭わされるだろうか」と、マッケンジーは言う。「私には、イスラエルの反応は考えなくてもわかる。イランも先週末の攻撃前、同じことを考えたのだろう」
(翻訳:ガリレオ他)
From Foreign Policy Magazine
ジャック・デッチ(フォーリン・ポリシー誌記者)
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