円安を止めなければいけない理由は何か
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月22日 16時45分
なお、4月に入ってからイランとイスラエルとの緊張関係が高まっていることが、金融市場で不確実性要因として意識されており、株式市場の下落要因になっている。従来は地政学要因が浮上すると、安全資産への逃避として為替市場では円高に動く場面が多かったが、最近は中東情勢の混乱が意識されている中で大幅な円安が起きていることを懸念する見方もある。ただ、2024年に入ってから円安とほぼ同様に、スイスフランも対ドルで下落している。地政学リスクの高まりで「質への逃避」で円やスイスフランが買われる必然性は薄く、仮に安全資産が買われるならばドル高になるのが自然とも言える。
そもそも、通貨円が「逃避通貨」とされていたのは、かつてデフレや低インフレが長期間続きていた局面に、金融政策が機能不全に陥り、経済に下押しがかかると人々のデフレ期待が強まりそれが円高を招いていたためと筆者は考えている。であれば、金融政策がしっかり働いて、日本が米欧のように普通の国となりインフレ期待が高まっているのだから、ドルと異なり基軸通貨ではない円が根拠不明な「逃避通貨」にはならない。
インフレ定着を決定的にする効果は明らか
更にいえば、日本がデフレから完全脱却しつつあるのだから、円安そのものはポジティブに位置付けられることができる。円安が長引き、企業、家計のデフレマインドを変えて、インフレ定着を決定的にする効果は明らかである。円が「安全資産」である方が良いと考える論者は従来のデフレに心地よさを覚えてしまい、日本でインフレが定着しつつある現状に嫌悪感を抱いているのかもしれない。
(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)
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