イースター島付近の海嶺で50種以上の新種生物を発見
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月24日 14時10分
今回の探査のわずか数カ月前、ナスカ海嶺とフアン・フェルナンデス海嶺で行われた別の探査でも、新種と思われる生物100種類以上が見つかっていた。この2回の探査は、こうした海域が生物多様性に富み、従って保護が必要なことを物語る。
テキサス大学のイーストンは言う。「個々の海山ごとに固有の生態系が観察されたことで、少数の海山だけでなく、海嶺全体を保護する重要性が浮き彫りになった。今回の探査で収集したデータが、サラス・イ・ゴメス海嶺の公海を含む新しい海洋保護区設定の役に立つことを期待する」
サラス・イ・ゴメス海嶺は国連公海条約の批准を受け、公海海洋保護区の候補地とされている。同条約には米国など多数の国が署名しているが、これまでに批准したのはチリとパラオのみ。60カ国が批准すれば、十分な科学的根拠があることを前提として、各国が公海上に海洋保護区を設定できるようになる。
ラパ・ヌイからは、ラパ・ヌイ海洋評議会のメンバー1人を含む4人が探査にかかった。同評議会はチリ遠隔地の領海とラパ・ヌイ周辺の海洋保護区の共同管理を担い、もしサラス・イ・ゴメス公海海洋保護区が設定されれば管理に協力する。
「ラパ・ヌイが海洋科学探検に参加する重要性は、島を取り巻く海洋環境を知り、理解を深める機会を得ることにある。天然資源、未知の海洋生物、さらには我々の地域社会に直接的な影響を及ぼす気象現象は、調査と探査を通じて発見できる」。オブザーバーでラパ・ヌイ海洋評議会委員のマルセラ・ヘイスはそう語った。
(翻訳:鈴木聖子)
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