南シナ海、米比合同演習の周囲を埋め尽くす中国船が見えた
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月25日 18時8分
パウエルによると、南シナ海では中国海警局と海上民兵の船舶が「ここ1カ月非常に増えていた」が、先週は船舶の交代時期に当たったため、その数がさらに急増。だが、その後も通常レベルに戻る様子はないという。
「これは米比の合同演習に対抗するための誇示行動と思われる」と、パウエルは言う。「もっとも中国は近年フィリピンが進めている水路測量プロジェクトにも警戒を募らせている上、フィリピンが実効支配するセカンド・トーマス礁への物資輸送にも引き続き神経を尖らせている」
本誌はフィリピン軍と中国外務省にメールでコメントを求めている
4月23日には、シーライトのデータで、セカンド・トーマス礁の北東に位置する、やはり領有権でもめているスカボロー礁周辺にも中国船が集結していることが確認された。スカボロー礁もフィリピンのEEZ内にあるが、中国は2012年にこの環礁を奪い、今年2月には中国の小型船がフィリピン漁船を締め出すために障壁を設置する様子が確認されている。
今年のバリカタン演習は史上最大の規模で実施され、1万7000人近い兵員が参加している。その大半はフィリピン軍と米軍の兵士だが、フランス軍も加わっていて、オーストラリア軍も今年初めて参加、その他の14カ国がオブザーバーとして参加している。
訓練は5月10日まで行われるが、4月22日の開始を目前に控えた4月11日には、ジョー・バイデン米大統領と日本の岸田文雄首相、フィリピンのフェルディナンド・マルコスJr.大統領がホワイトハウスで初の3者会合を持ち、南シナ海における中国軍の威嚇・挑発行動への対応策を協議した。
バイデンはマルコスJr.に対し、70年の歴史を持つ米比相互防衛条約は、南シナ海の防衛にも適用されることを改めて保証した。中国側は、アメリカが地域の安定を脅かし、中国封じ込めのためにフィリピンを利用していると主張している。
バリカタン演習開始の前日にはまた、中国山東省の青島で「西太平洋海軍シンポジウム」が開幕した。今年は中国海軍が10年ぶりに開催を担当、4日間の日程で29カ国の海軍幹部らが海洋安全保障などについて意見を交わした。
開幕式では、中国制服組トップの張又侠・中央軍事委員会副主席が演説し、「海洋紛争については、わが国は直接的な関係各国と友好的な協議を通じて解決を図る立場を今後も堅持する」と述べつつ、「しかし、われわれの信義誠実につけ込む悪辣な行為は断じて許さない」と釘を刺した。
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