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「働きすぎを避けて幸せになる...」フィンランド流「5つの習慣」とワークライフバランス

ニューズウィーク日本版 / 2024年4月26日 16時30分

自然との触れ合いはストレスを和らげると筆者は指摘する ROBERTO MOIOLA/SYSAWORLD/GETTY IMAGES

こうした自由と信頼は職場だけにとどまらない。例えばフィンランドではバスに財布を置き忘れてもほぼ確実に戻ってくる。以前、米リーダーズ・ダイジェスト誌が世界各地でわざと12個ずつ財布を落として実験した結果、持ち主の元に戻った財布はフィンランドの首都ヘルシンキが12個中11個で世界トップだったという。

それでも災難は起き、人生は私たちに思わぬ難題を吹っかけてくるが、こうしたプラス思考と信頼が育む幸福感と充足感のほうが、それらの災難や難題をはるかに上回っている。

■家庭を大切にする

次は家庭と仕事だ。私は親として夫として、自分の幸せが家族の幸せと切っても切り離せないと分かっている。深夜や週末まで仕事をすれば、その間は家族を犠牲にすることになる。

誰もが休暇を取る権利を尊重するのも私たちフィンランド人が幸福度を維持する方法の1つ。健全なワークライフバランスが必要不可欠だ。

フィンランドの年間休暇日数は平均4~5週間。この充電のチャンスに社員はたっぷり休養し、新鮮なアイデアと視点を職場に持ち帰る。

■競争心はほどほどに

最後になったが、競争心はほどほどにしておくことも重要だ。競争心は大きなモチベーションになり得るが、それだけにとらわれてはいけない。

冒頭で書いたように、自分の幸せをひけらかさないことこそ、フィンランド人と異文化の多くの人々との違いだ。

例えば、私は子供の頃、作家になるのが夢だった。それが数年後には建築家に変わり、それからさらに企業戦略家に変わった。自分の好きなことをするのが成功と幸せにつながると教えられた。

今はソーシャルメディアの時代だ。その結果、残念ながら、財力と影響力が成功の尺度になっている。ソーシャルメディアには名声と富を手に入れる「ノウハウ」だの「近道」だのがあふれ、大勢の人々が実現不可能な夢を追いかける。幸せが約束されているわけではないのに、だ。

フィンランドでは名声や富はあまり通用しない。お国柄から、名声や富で私たちの価値や幸福度が決まるわけではないと心得ているのだ。代わりにフィンランド人はもっとひそかな充足感を求める。

例えば、アメリカとフィンランドではビジネスリーダーの乗る車が違う。アメリカでは企業トップの車はその企業の成功を象徴する。高級車であれば将来有望な安定した企業ということだ。

一方、フィンランドでは、派手な車は傲慢さや優越感の表れと見なされかねない。企業経営者は大成功してフェラーリに乗るようになっても、顧客を訪ねるときはおんぼろの小型車に乗り、富や名声を手にしても彼自身は変わっていないことをアピールする。

こうしたフィンランド人特有の幸福観にもかかわらず、大成功しているフィンランド企業もある。通信機器大手ノキア、スマホゲーム開発企業スーパーセルや指輪型健康トラッカーで有名になったオーラといったスタートアップ企業などだ。

フィンランドが今後も「世界一幸福な国」でいられるかどうかはまだ分からない。それでも国連の「世界幸福度報告書」は、世界中の誰もが幸福になっていいのだと改めて気付かせてくれる。

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