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「ネガティブ思考」が変わる「コーピング理論」とは何か?...「レジリエンス」を高める2つのステップ

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月2日 10時0分

ソニアは、ストレスを適切なコーピングで解消している。定期的にジムに通ってストレスを発散したり、親友に電話して支えてもらったりしているのだ。ところが、同じストレスと闘っているミシェルは、お酒で意識をもうろうとさせ、現実逃避をしている。

その瞬間は気分がよくなっても、翌朝目覚めたときには頭がぼんやりして、うつろでみじめな気分になっている。ストレスも恥の意識もいっそうふくらんで、不適切なコーピングによる悪循環が続いてしまう。

私はクリニックで、不適切なコーピングを数多く目にしてきた。最もよく見かけるのは、次のようなものだ。

・他人の機嫌を取ること 相手の要求を満たせば、ストレスは(一時的に)消える。

・怒り/激怒 感情を他人にぶちまければ、ストレスは解消される。

・解離 ストレスフルな出来事の間は、「身体を離れて」いるから、トラウマを「体験」しなくてすむ。性的な面では、あまり興味のない相手とセックスしてしまうことも、解離の一つに数えられる。あるいは、パートナーを性的に満足させるために尽くして、自分自身の喜びには気づかない、注意を向けていないというケースもある。

こうしたコーピングを行うと、過去のトラウマを繰り返したり追体験したりせずにすみ、目の前の苦しみを先送りできる。ただし、自分の身体的、感情的、精神的な望みや欲求を十分に満たす助けにはならない。

欲求が満たされない状態が続くと、苦しみや分離は悪化する。自分を守るつもりが、自分への裏切りにつながっていくのだ。

私たちはこのループに、簡単にはまり込んでしまう。未解決のトラウマに不適切なコーピングを行い、自分を否定し続ける―という悪循環のせいで、苦しみが心身で生き続け、それが原因で病気になることもある。

変化のポテンシャルを高める2つのステップ

私たちはみんな、未解決のトラウマを抱えている。心に何が刻み込まれるかを決めるのは、出来事そのものの過酷さよりも、それに対する自分の反応だ。打たれ強さ(レジリエンス)は、条件づけを通して学習される。

幼い頃に親から手本を示してもらえないと、一生学べないかもしれない。ただし、トラウマを解決する「ワーク」に取り組めば、レジリエンスを高められる。それどころか、その経験が大きな変革のきっかけになるだろう。

「セルフ・ヒーラーズ」のコミュニティでトラウマに関する情報をシェアすると、多くのフィードバックが届く。みんなから「誰もがトラウマを抱えている、という意味ですか?」「どうすればわが子にトラウマを与えずにすみますか?」などと質問される。では、答えを言おう。

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