「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「フリーランス精子」市場に女性が殺到する理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月9日 17時20分
メレディス・ウルフ・シザー(本誌記者) for WOMAN
<無制限に何十人も子供をつくる男もいる――。法的規制のないネットの精子提供システムを使うのはなぜか。体験記の著者に聞いた>
精子バンクを利用するのではなく、インターネットで見つけたドナー(精子提供者)を介して妊娠を目指す。そんな独身女性やLGBTQ(性的少数者)が増えている。
本誌調査報道担当記者であるバレリー・バウマンは、自分の意思で未婚のまま妊娠・出産する「選択的シングルマザー」を目指してフリーランス(個人間の私的契約)型の精子提供システムの世界に深く入り込み、一連の調査と自らの経験を新著『想定外のこと(Inconceivable)』(書名をクリックするとアマゾンに飛びます)にまとめた。
その可能性と問題点について、本誌メレディス・ウルフ・シザーがバウマンに聞いた。
◇ ◇ ◇
──最終的にあなたは妊娠を?
いま妊娠中で、出産予定は5月中旬。息子に会うのが待ち遠しい!(編集部注:本記事は3月中旬にニューズウィーク米国版に掲載されたもの)
──妊娠までの道のりで、こうしておけばよかったと思うことは。
私が本の中で「コンキスタドール」と呼んでいるドナー(精子提供者)がいる。私たちは妊娠を試みる一方で、ロマンチックな関係を持とうとした。そのことは後悔している。
ネットを舞台とする規制のない精子提供は、何よりも子供を守るために、親になりたい人々が責任と覚悟を問われると語るバレリー・バウマン COURTESY VALERIE BAUMAN
──規制のない市場で妊娠を試みる際はさまざまな落とし穴がある。
大切なのは、時間をかけてドナー候補を適切に吟味して、ある程度の信頼関係を築くことだ。精子バンクと違って、自分の子供を形成するDNAの半分を提供する人について、実際に知る機会がある。その利点を生かして、焦ってはいけない。
ドナーの身体的属性ばかり重視して、匿名性を求める人も少なくない。精子は郵送などで送ってもらえばいいとか、実名も聞かずにモーテルで会おうとする人もいるだろう。これはレシピエント(精子の被提供者)にとっても生まれてくる子供にとっても、健全な判断ではない。ドナーが精神的問題を抱えていて、子供に遺伝する可能性もあるのだから。
ドナーから性行為を強要されるケースもある。どうしても妊娠したいあまり、そうした圧力に屈してしまう女性もいる。そんな最低の相手でも、あなたの子供が将来、DNAの検索サイトでドナーとして探し当てたらどうなるだろうか。
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