【独占取材】岸田首相が本誌に語った「防衛力の強化」と「外国人労働力」の必要性
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月10日 16時4分
岸田の一族は広島出身。彼自身、被爆者の恐ろしい証言を聞いて育った。この原爆は戦争を終結させる一助となり、その後のアメリカの優位性を確立することになった。
日本、そして世界全体が今「歴史的な転換点」にあると言う岸田は、アメリカを最も重要な同盟国と見なしている。
現在の日本には、かつてアジア・太平洋の広範な地域を占領し、1941年の真珠湾攻撃でアメリカを驚愕させた膨張主義は見られないものの、帝国主義の悪しき遺産は依然として国内外で摩擦を引き起こしている。
岸田は4月21日、第2次大戦の戦犯を含む軍人・軍属が祭られている靖国神社に供え物を奉納し、中国だけでなく、同じくアメリカの同盟国である韓国からも抗議を受けた。
両国にとって靖国神社は、日本が過去に行った占領と残虐行為の象徴だ。そうした負の遺産が、戦後の日本が軍事力の再構築をためらってきた理由でもある。
岸田は、27年度までに軍事費を倍増させる計画に取り組む理由について率直に語った。「今の日本は第2次大戦が終結して以来、最も困難で複雑な安全保障環境に直面している。この状況の下で、国民の命と生活を守らなければならない」
岸田は戦後の日本が軍事的行動に対して否定的な態度を取ってきたことを繰り返し強調しながら、再軍備について説明する努力を続けなければならないと語った。
「この点については、いかなる誤解もあってはならない」
ハードパワー/ソフトパワー
ストックホルム国際平和研究所の中国・アジア安全保障プログラムの袁景東(ユアン・チントン)上級研究員は、中国は軍事強化に向かう日本の姿勢に強い警戒感を抱いていると語る。
「日本にとって重要なのは、武力行使は防衛目的に限るという意思を示すこと。増大する軍事力を一方的に使える形ではなく、より広範な同盟関係や少数の国々との安全保障の取り決めの中に位置付けることだ」
日本は友好国を増やして影響力を高めようとする一方、経済支援にも重点を置いている。アフリカへの300億ドルの支援や、東南アジアでは鉄道インフラやクリーンエネルギー開発、共同海上安全保障機構など、全域にわたる一連のプロジェクトに約750億ドル規模の投資が計画されている。
米輸送機V22オスプレイが登場した2022年の陸上自衛隊の実弾演習 TOMOHIRO OHSUMI/GETTY IMAGES
昨年5月に広島でG7サミットを主催した際、岸田はインドネシアとベトナムをASEANの代表として、あえて招待した。
この記事に関連するニュース
-
“ほぼトラ”外交はどうなる ウクライナ侵攻への影響は?日米関係は? 世界は一体どこへ向かうのか【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月23日 12時10分
-
「安保同盟と領土問題」に関するアンケート
PR TIMES / 2024年7月22日 11時15分
-
トランプ氏演説で見えた外交の「強さ」と「危うさ」 同盟観は語られず内向き懸念残る
産経ニュース / 2024年7月19日 19時32分
-
元防衛大臣・森本敏「日本の防衛の指揮系統をどう整備するか」
財界オンライン / 2024年7月19日 18時0分
-
安倍晋三氏の国際的実績とは(下)アメリカはなぜ彼を賞賛したのか
Japan In-depth / 2024年7月11日 21時0分
ランキング
-
1高速鉄道TGVの破壊行為関与か、極左活動家の男を拘束 フランス当局、工具など所持
産経ニュース / 2024年7月29日 20時43分
-
2フランス一部通信設備に破壊行為 ケーブル切断 26日との関連不明
ロイター / 2024年7月29日 20時22分
-
3ハリス米副大統領の偽動画拡散=Xでマスク氏、オーナー自ら規約違反か―米大統領選
時事通信 / 2024年7月29日 15時10分
-
4「カマラ・ハリスの足を引っ張る」...メーガン妃が政治に口出しすべきではない理由とは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月29日 17時0分
-
5「汚物風船戦争」は南北リアル戦争にエスカレーションか?
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月29日 12時47分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください