ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継では聴こえなかった大ブーイング動画が拡散
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月13日 16時32分
イスラエルを締め出そうという抗議は、音楽祭の前から続いていた。
ロイター通信によると、ゴランの曲名はもともと「10月の雨」だったが、大会前に「ハリケーン」に変更した。ユーロビジョンの主催者が元のタイトルは、明らかに10月7日のハマスの攻撃を意味していると感じたからだ。
オリジナルの歌詞には、ハマスの攻撃によって、窮屈な環境で避難生活を余儀なくされた人々を指すかのような「息をする空気も残っていない」や、ハマスが攻撃をしかけたパーティーの参加者や攻撃で殺された子供たちを暗示するかのような「みんな、いい子たちだった」という歌詞も含まれていた。
その歌詞も見直され、「日々、私はおかしくなっていく」「私はまだこのハリケーンで傷ついている」といった表現になった。
ゴランは、歌の内容を擁護し続けた。「メッセージは明確だと思う」と、彼女は今年3月に語っている。「この歌は、個人的な危機、つまりハリケーンを経験している女性のことを歌っている」
11日に決勝が行われたマルメでは、世界1億8000万人が視聴するこの音楽祭にイスラエルが参加することに対して、何千人もの人々が抗議した。
大勢の群衆がパレスチナの旗を振りながら、会場に向かって行進し、大会の公式スローガン「音楽で団結」をもじった「ジェノサイドで団結したユーロビジョン」と非難した。
警察の推定によれば、11日のデモに参加した人数は6000~8000人とみられる。
ロイター通信によれば、9日にスウェーデンで行なわれた準決勝の前には、1万人以上の親パレスチナ派が集まったという。ゴランの支持者は比較的少数で、平和的なデモを行い、ゴランの出場権を擁護した。
最終的に優勝したのは、ジェンダーにとらわれないアイデンティティを受け入れるまでの道のりを歌ったオペラ風のポップラップ「ザ・コード」を歌ったスイス人歌手のネモだった。
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