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アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月13日 18時55分

警官の助けを借りて避難準備をするハルキウ州ボウチャンスクの住民たち(5月12日) REUTERS/Vyacheslav Madiyevskyy

エリー・クック
<ハルキウ市包囲を目論むにはロシア軍は人員不足と、米シンクタンクは指摘する>

先週後半にウクライナ北東部ハルキウ(ハリコフ)州への攻勢を強めたロシア軍だが、アメリカのシンクタンク、戦争研究所(ISW)に言わせれば、これはアメリカからの追加軍事支援の到着を考慮に入れていない「無茶な」攻勢だ。同州の当局者は住民の避難を急いでいる。

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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は10日、ロシアがウクライナ軍に対する「作戦の拡大を試みた」と述べた。これを受けてウクライナ軍は、ロシアと国境を接するハルキウ州に展開する部隊を増強しているという。

ハルキウ州当局者は、ロシア国境に近い町ボウチャンスクで、ロシアからの砲撃と攻撃が激しくなっていると語った。ボウチャンスクはウクライナ第2の都市ハルキウ市の北東にあり、数週間前からロシア軍の空からの攻撃を受けていた。

ISWが11日に公開したリポートによれば、ロシア軍がハルキウ州に投入している戦力は今のところ限定的だ。ウクライナ軍にはアメリカからの追加軍事支援が近く届くことを思えば、これは「大胆な決断」だと指摘した。

攻勢の規模は現時点では「限定的」

「ハルキウ州北部における限定的なロシア軍の攻勢作戦からは、アメリカからの軍事援助の再開を受けても(ロシアのウラジーミル・)プーチン大統領の読みは変わらなかった、もしくは軍事支援再開を受けたウクライナの反撃能力(の向上)という、今作戦の根本的な前提を再検討することなくプーチンがハルキウ州での攻勢に踏みきったことがうかがえる」と、ISWは11日に述べた。

現時点においてロシアは「この地域の攻撃作戦に限られた量の戦闘能力を投入しているだけだ」とISWは見ている。

ウクライナ国防省は10日、ロシアが現地時間午前5時ごろ、ボウチャンスク周辺に誘導弾を落とすとともに、装甲車両で防衛線を突破しようとしたと明らかにした。これを受けてウクライナ軍は予備役部隊をハルキウ州に送ったという。

ロシアはここ数カ月、東部ドネツク州での作戦にも力を入れており、すでに制圧したバフムートやアブディイフカの西側でゆっくりではあるが占領地域を広げていた。

「今週、ハルキウ州での状況は大きく動いた」と、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は12日、述べた。「状況は困難だが、ウクライナ軍は防衛線および陣地を維持するためできる限りのことをしている」

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