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ロシア、戦術核を含む軍事演習を初めて公表...プーチン大統領がウクライナに核を使う日は来るのか?

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月16日 20時46分

ロシア外務省は同日、フランスのピエール・レビ駐ロシア大使を呼び出した。フランスはこれを威嚇だと非難。翌日のプーチンの大統領就任式にレビは出席したが、米英と大半のEU加盟国は欠席した。

マクロンだけではない。米民主党のハキーム・ジェフリーズ下院院内総務は5月初旬、ウクライナの敗北は許容できないと、米ニュース番組で発言した。「(ウクライナが負けることになれば)アメリカは戦争参加を迫られる可能性が非常に高い。資金だけでなく、米軍を送ることになる」

デービッド・キャメロン英外相は、5月初めにウクライナを訪問。ウクライナには、イギリスが供与した兵器を使ってロシア領内の標的を攻撃する権利があると述べた。

戦術核演習を行うとの発表は、こうした発言に対するプーチンなりの返答だろう。

核使用の基準はどこに

専門家によれば、ウクライナでの戦況がロシア優勢になっているため、戦術核の演習は差し迫った脅威ではない。「NATOの地上部隊派遣の阻止を目指した政治声明だと受け止めている」と、カーネギー国際平和財団核政策プログラム共同責任者のジェームズ・アクトンは言う。

核配備の可能性が高まるのは、プーチンが追い詰められたと感じ始めた場合だと、アクトンはみる。「最大の引き金になるのは(ロシアが併合した)クリミアが脅かされたときだろう」

ロシアが戦術核使用に踏み切る基準が従来の主張ほど高くないことは、英紙フィナンシャル・タイムズの今年2月の報道から読み取れる。同紙が入手したロシアの機密軍事文書によれば、戦術核の使用が想定されるのは、ロシア領内への侵攻があった場合や国境を警備する部隊が打ち負かされた場合だ。

同時に、「国家的な武力行使」あるいは「軍事衝突の拡大の阻止」といった、より曖昧なケースも含まれている。

CNNの3月の報道によれば、ロシアがウクライナの戦場で核兵器を使うかもしれないとの懸念を受け、米当局者らが「徹底的な準備」を開始したのは22年後半だ。

射程距離がより長い戦略核兵器は、冷戦時代にさかのぼる軍縮協定によって制限されてきたが、戦術核兵器はこの手の協定の対象外だ。ロシアが保有する戦術核の規模について、透明性はゼロに等しい。

戦術核の明確な定義は存在しない。だが一般的には、自軍が優位に立つために戦場で使用される、より小型の核兵器とされている。

アメリカが広島と長崎に原子爆弾を投下して以来、一度も使われたことのない核兵器を使用すれば、どれほど恐ろしい効果があるか。それを認識しているプーチンは、ウクライナで戦果を上げるためではなく、衝撃を与えて欧米首脳を翻意させるために戦術核を配備する可能性が高いと、アクトンは指摘する。

「目的は、エスカレートしかねないとの脅威によって恐怖心を植え付けることだろう。結局、ロシアの核使用の基準はプーチンの一存で決まる」

From Foreign Policy Magazine

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