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戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月23日 10時27分

世界平和のためにも戦い血を流し続けているウクライナ兵(5月9日、ロシアのベルゴロド)Markiyan Lyseiko/Handout / Latin America News Agency via Reuters Connect

エリー・クック
<西側の大国は、これはウクライナの戦争だと一線を画したがる。だがもしロシアがウクライナを手に入れれば、その技術と兵士を我が物として、次の標的を襲う。第二次大戦の教訓だ>

ある著名な歴史学者が、ロシアと戦っているウクライナは第3次世界大戦を阻止していると述べ、両国が全面戦争に突入して3年目の現在を、第2次世界大戦直前の時期になぞらえた。

米イェール大学の歴史学教授で、東欧とソビエト連邦を専門とするティモシー・スナイダーは、2024年を1938年と比較しながら、ウクライナは、第2次大戦初期にナチスに降ったチェコスロバキアに似てきたと述べた。

1939年、アドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツはチェコスロバキアに侵攻し、自軍の補給のためにチェコを併合した。イギリスとフランスは、ポーランドの同盟国で安全を保障していたが、それでもナチス・ドイツは同年9月、ポーランドに侵攻。これを受け、イギリスとフランスはナチス・ドイツに宣戦布告し、第2次世界大戦が勃発した。

スナイダーは、エストニアの首都タリンで行われた会議で、「もしウクライナが諦めるか、私たちがウクライナを諦めれば、将来、今とは違うロシアが戦争を行うことになる」と発言した。

大戦を引き延ばしているウクライナ

「ロシアは、ウクライナの技術と兵士を手にし、地理的に異なる位置から戦争を行うことになる」とスナイダーは続けた。「その後は1939年と同じだ。今は1938年だ。ウクライナは事実上、私たちが1938年を引き延ばすことを可能にしてくれている。彼らは、1939年に突入しないようにしてくれているのだ」

ウクライナにおける2年以上にわたる本格的な紛争は、第3次世界大戦の可能性を前面に押し出した。しかしNATO諸国は、ウクライナ戦争の当事者ではないことを強調し、暴力が国境を越えて広がる可能性を封じ込めようとしている。

ウクライナは、もしウクライナがロシアに敗れれば、次はヨーロッパの他の国がロシアの攻撃対象になると警告している。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2022年2月、ロシア軍がウクライナに侵入してきた直後、以下のように呼び掛けた。「街頭に繰り出し、ウクライナの努力、ウクライナの戦いを支援してほしい。もしウクライナが倒れれば、ヨーロッパも倒れるからだ」「われわれが倒れれば、あなたたちも倒れる」

また3月中旬には、世界は「本格的な第3次世界大戦の一歩手前」と発言した。

プーチンの忠実な味方であるベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は2024年2月、世界は「再び崖っぷちに立たされている」と警告した。

ルカシェンコは第3次世界大戦について、「懸念する根拠はある」と言い添えた。

(翻訳:ガリレオ)

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