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テストステロン値が低いと早死にするリスクが高まる──新研究

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月23日 16時49分

ニワトリが先か卵が先かの謎を解くヒントは、前立腺癌のホルモン療法に見いだせる。前立腺癌の治療では、テストステロンの分泌を強力に抑制する薬が用いられるが、この療法には心臓病と脳卒中の発症率を高めるリスクがある。

テストステロン値の低下を防ぐには?

つまりテストステロン値の低さは慢性疾患の指標ともなり得るが、将来的に慢性疾患を発症させる要因の1つでもあり、ことによると寿命を縮める要因ともなる、ということだ。

テストステロン値がどの程度なら「低い」と見なされるかは一概には言えない。ある人のテストステロン値を測定しただけでは、低いか高いかは判定できない。個々の男性によって、適正値は異なるからだ。

研究者たちは、どのレベルなら慢性疾患の発症リスクが高まるかを探るため、さまざまな集団で大勢の被験者のテストステロン値を測定し、その平均を基に、正常な範囲を設定しようとしている。危険レベルが分かれば、医療的介入をしやすくなるからだ。

だが、基準値の設定は一筋縄ではいかず、往々にして危険因子の影響がよほど大きくなければ、正常範囲を設定できない。新論文によれば、おおむねテストステロン値が非常に低い場合に、早死にのリスクが明らかに高まると考えられる。

このことから言えるのは、一般的な正常レベルがどうあれ、あなた自身のテストステロン値が大幅に下がったら要注意と考えたほうがいい、ということだ。

となると、気になるのは、テストステロン値の低下を防ぐにはどうすればいいか、だろう。

ホルモン補充療法も選択肢の1つ

真っ先に言えるのは、健康的な生活習慣を実践し、太り過ぎないようにすること。既に大幅に低下しているのなら、ホルモン補充療法も選択肢の1つとなる。

男性ホルモン補充療法で、あらゆる死因による早死にや心臓発作などのリスクが減ることを示す論文が次々に発表されている。だが長年、テストステロンの補充で心臓発作のリスクが高まると言われてきたせいで(そうした主張の多くは今では覆されている)、いまだにこの療法への抵抗が根強くある。

少なくともこの療法で心臓病のリスクが高まる心配はないことは、既に多くの研究で実証されているが、リスクを下げる効果が期待できるかどうかは検証中の段階だ。

今はまだテストステロン値を高めれば、心臓発作で早死にするリスクを減らせる可能性が見えてきただけで、補充療法が一般的な選択肢になるにはかなりの時間がかかりそうだ。

となると、健康長寿を願う中高年男性が今すぐ実践すべきは? そう、生活習慣を見直して、テストステロン値の低下を防ぐことだろう。

Daniel Kelly, Senior Lecturer in Biochemistry, Sheffield Hallam University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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