「病院で待つ必要ナシ!」 自宅にいながら医療サービスを受けられる時代が来た
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月24日 13時35分
疾患によっては対面での診察や検査が必要になるが、医師が日常的に行っている医療行為の多くはパソコンやスマートフォンの画面越しに遠隔で行うことが可能だ。医師は手が空いたときにいつでも患者と連絡を取って診察を行い、場合によっては薬を処方するなど治療も行える。
スマートウォッチなどウエアラブル機器の進化で人々の健康意識が高まり、自分の体の状態を数値で把握し、かかりつけ医にデータを共有する人が増えた。これにより医師と患者の関係は大幅に改善され、より治療をしやすい早期の段階で医療的介入を行えるようになった。
医療従事者のオーバーワークとそれによる燃え尽き症候群は今や社会問題となっている。遠隔医療、もしくは遠隔医療と対面診療の組み合わせは医師の働き方改革にもつながり、医療の未来を切り開くと言っても過言ではない。だが、そのためには解決すべき課題がいくつかある。
その1つは個人情報の保護。対面診療なら患者の情報が外部に漏れる心配はまずない。だがポータルやサードパーティーのハードとソフトの利用に加え、ネット経由での患者と医師のやりとりが増えれば、データが盗まれ拡散されるリスクは劇的に増える。これは放置できない問題だ。
第2の課題は医療保険の適用である。アメリカの多くの州には既に保険会社に遠隔医療の適用を義務付ける法律があるが、今はまだ対面診療と同等にはカバーされていない。
さらに情報格差の解消も必要だ。遠隔医療の利用にはスマホやウエアラブル機器、ブロードバンド接続などのネット環境が求められる。こうした技術を利用できないために一部の地域や患者が取り残されることがあってはならない。
遠隔医療の普及を加速させたのは新型コロナウイルスのパンデミックだ。公衆衛生上の危機が収まり、人々が以前ほど対面での接触を回避しなくなれば、遠隔医療の導入を急ぐ医療機関は減るかもしれない。
遠隔医療は将来的には確実に普及するだろうが、できるだけ速く普及させる必要があることを忘れてはならない。アメリカでは7100万人超のベビーブーム世代が既に退職したかその年齢に迫りつつある。つまり新たなパンデミックが吹き荒れなくとも、医療ニーズが激増する状況にある、ということだ。
できるだけ早く遠隔医療の課題を解決し、より優れたアプリを開発すること。それによって社会全体が大きな恩恵を受ける。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
病院に泊まる=入院ではない? 手術給付金、外来と入院でどう変わるか
MONEYPLUS / 2024年7月28日 7時30分
-
日常にゆとりを届けるオンライン診療サービス「Go Slow Wellness」開始
PR TIMES / 2024年7月25日 12時45分
-
メドレー、オンライン診療で「Amazonファーマシー」とサービス連携を開始
PR TIMES / 2024年7月24日 17時40分
-
予防需要やカジュアル化が拡大するAGA市場に対応!DMMオンラインクリニック、「おうちAGA」プランを開始
ITライフハック / 2024年7月24日 16時0分
-
戦闘の続くミャンマー・ラカイン州──国境なき医師団の医療活動にも深刻な影響
国境なき医師団 / 2024年7月18日 17時18分
ランキング
-
1パリ五輪村のヘルシー食堂、「肉を出せ!」不満続出で計画修正 「東京はよかった」の声も
産経ニュース / 2024年7月31日 14時15分
-
2英国で女児3人死亡の襲撃事件巡りデモ、暴徒化し警察と衝突
ロイター / 2024年7月31日 11時6分
-
3ハマス最高指導者殺害 中国「暗殺行為に断固反対し、非難する」 イスラエル名指しせず
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月31日 17時47分
-
4ベネズエラ、ペルーと断交 大統領選めぐる発言への対応
AFPBB News / 2024年7月31日 14時26分
-
5ハリス氏「面と向かって言いなさい」個人攻撃強めるトランプ前大統領に反撃
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月31日 12時8分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)