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都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月29日 12時0分

いやいや東京には余裕はないという意見もあります。このまま、単身高齢世帯が加速度的に増加して税収より歳出が増えれば財政的には苦しくなります。それを支えようにも、国際基準から見たらDXも準英語圏化も遅れているのは事実。ならば、地方を切り捨ててでも、東京は真の経済成長を目指さないと十数年で崩壊してしまうという議論もあり得ます。

問題の2つ目は少子化です。東京に人口が流入する一方で、東京は全国でも最悪の少子化都市であり、この循環が続くようなら東京が全国の人口減の元凶として、事態をどんどん奈落の底に引っ張っているという認識もあります。ならば、その原因はどこにあり、対策はどうしたら良いのか、これも大きな論点になります。

共稼ぎが当たり前となる中で、夫婦が長時間労働をしていたら子育てに割く時間を確保できません。この問題を解決できなければ、2人目、3人目を産んで育てるというのは東京では不可能です。東京が率先して生産性を向上して長時間労働を断ち切るにはどうしたらいいのか、知恵を集めなくてはなりません。事務作業を全部英語にしてしまい業務アプリなども世界標準にするとか、旧弊に固執する世代を公職追放するとか、相当にドラスティックな対策も提案されていいと思います。

 

目に余る住宅の高騰

職住近接も重要ですが、昨今の都心部の住宅の高騰は目に余ります。こうなると、都市計画が破綻しているとしか言いようがありません。やたらに高層ビルの再開発が進む中で、都心部は子育て家庭の住む空間ではなくなりつつあります。こうした都市計画のあり方も争点になっていいと思います。

最大の問題は教育費だと思います。この点に関しては無償化政策が進められていますが、問題は中高の授業料ではありません。東京では半世紀以上前から公立中学の提供する教育が変質してしまい、その結果として小学校の低学年から塾通いをさせて中高一貫校に入れようとする家庭が多すぎます。この塾の費用が大きな圧迫となり、2人目、3人目を断念する理由になっているというストーリーも成立します。それならば、東京における公立中学の再建というのは喫緊の課題になります。

一極集中と少子化、この2つのテーマだけでも、具体的な対策を実施して効果を上げるには、強いリーダーシップが求められます。様々な有権者層に媚びて総花的な政策でごまかしている時間はないし、ある意味では今回の都知事選がラストチャンスなのかもしれません。まずは、そのような緊迫感を持った論戦を期待したいと思います。

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