1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

日本の部活動は「滅私奉公」サラリーマンを育てる隠れカリキュラム

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月30日 15時10分

年収が750万円を超える者の割合をとると、加入群では26.5%、非加入群では16.2%と10ポイント以上の差がある。年収が400万円に満たない者は順に32.4%、42.8%。両群の年収分布の差は統計的に有意だ。単純なクロス集計の結果だが、こういう傾向は出てくる。

企業は部活(運動部)の経験者を評価する、後者は前者が求める人材像に合致する。だが周知のように、日本の企業にはブラック労働がはびこっている。見方を変えると、学校の部活動は、滅私奉公のブラック労働を厭わない人間を育てる「隠れたカリキュラム」として機能しているとも言える。教員の「異次元の部活指導」が、こうした負の機能に加担しているとしたら皮肉なことだ。

しかし状況は変わりつつある。今後、学校の部活動は地域に段階的に移行されることになり、生徒の運動部加入率も低下の傾向だ(「中学生の課外活動は部活から地域クラブへ」2023年3月22日、本サイト)。教育は、社会の要求をくみ取り、社会を維持・再生産する機能と同時に、社会を変える機能も併せ持つ。進行中の部活動改革が、日本の企業社会の闇を変える契機になるといい。

<資料:OECD「TALIS 2018」、
    国立青少年教育振興機構『子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究』(2013年)>

【関連記事】
国公立大学の学費増を家庭に求めるのは筋違い
日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください