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真偽不明の「健康情報」がネットに溢れる今...本当に健康に役立つ「正しいエビデンス」の見分け方とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月12日 17時50分

林 はい。それを頑張ってまとめたのがこの本になります。

パブリックヘルスストラテジスト・公衆衛生学者の林英恵さん(写真:榊智朗)

玉石混交の健康情報が溢れる現代

井手 先ほど「エビデンス」という言葉が出ましたが、このエビデンスの大事さは感じます。特に健康という話においては生きるか死ぬかに繋がるので、エビデンスがあることは必須ですよね。

この本は後半50ページにエビデンスとなる参考文献や論文がずらっと載っていて凄いなと思いました。

エビデンスの大事さは感じながら、一般の我々が論文を一つずつ読んでいくわけにはいきません。その中で、健康に関するエビデンスのない不確実な情報が我々の耳にも、ライトに入ってきているというのも事実です。

林 これはすごく難しいことですよね。一昔前であれば健康法のソースは限られていました。テレビ、新聞、本、雑誌ぐらいでしたよね。

ですが今はネットやSNSで誰でも発信できる時代になりました。情報が溢れる中で、何が正しくて何が正しくないのかがわからない。もっと言えば、専門家と呼ばれる人の中でも、必ずしも正しいとはいえない情報を発信している人も少なからずいます。

残念ながら、学校教育の中で、「エビデンスとは何なのか」ということについては教わらずに大人になっている人も多いと思います。

そこで、この本ではエビデンスとは何なのか、そして情報に対峙した時に少しでもいいものを選べる力をつけるためのテクニックを公開しています。

「正しいエビデンス」を見極めるポイント

井手 普段生きていく中で、正しい知識を得るためのポイントはありますか?

林 例えば、医者や栄養士など健康に関する専門家が話している内容は、すべてエビデンスになるでしょうか?

たとえ専門家が話していたとしても、その内容がその人個人の経験に基づいているものであれば、エビデンスとしては一番弱いレベルです。

私が「睡眠時間は、私の経験からすると7時間ぐらいが良いと思います」と言ったとしても、私個人の経験に基づいていればエビデンスレベルは低く、逆に、信頼のおける研究やデータに基づいて話しているならば、それはエビデンスのレベルは高くなるのです。

このように、専門家の意見でも、何を基にそれを言っているのかを確認することが大事です。

井手 「誰が言っているか」だけが重要ではないということですね。その他にはありますか?

林 動物実験の結果はエビデンスとしてはいちばん低いものであるということです。

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