アメリカ兵器でのロシア領内攻撃容認、プーチンの「最大最後の一線」を越えた?
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月5日 19時35分
フェイントゥッチは、NATO各地で原因不明の火災が相次ぎ、ロシアの関与が非難されていることは、ロシアがどのような破壊工作を用意しているかを示している、と述べた。
「また、われわれはすでに、ロシアが戦術核兵器を使用するための訓練していることを知っている。ロシアがNATO諸国に対して、通常兵器で、しかもロシアの関与がわかるような方法で攻撃を加えることは考えにくい」
米政府の方針転換は、ウクライナがハルキウ近郊のロシア領内にいるロシア軍部隊や指揮統制部隊、大砲、兵站、防空部隊とくに戦闘機を標的にできることを意味する。
「ロシアとウクライナの軍事バランスが崩れた本当の原因は、ロシアが空中を滑空しながら標的に命中する重滑空爆弾を導入したことだ」と、フェイントゥッチは言う。
「この爆弾は安価で量産がしやすく、一度投下されたら、撃墜はほぼ不可能だ。攻撃を阻止する唯一の現実な方法は、爆弾を落とす前に爆撃機を上空あるいは地上で破壊することだ」そこで、西側が提供する兵器が役に立つ。
「ウクライナは、ロシア国内でこの爆弾の拠点を潰す必要がある。戦闘機はこの緊急課題に恩恵をもたらすだろう」と、フェイントゥッチは付け加えた。
アメリカの政策変更前から、ポーランド、ドイツ、フランスといったNATOの同盟国は、ウクライナに提供した武器が、ロシアを攻撃するために使われても問題ないと言い出していた。スロバキアを拠点とするシンクタンクGLOBSECのロジャー・ヒルトン国防研究員は、バイデン政権が今回最後に方針変更に踏み切ったのは、ハルキウの安全が脅かされているからだという。
ここでアメリカがロシア領内への攻撃を許さなければ、「戦力の逐次投入で、結局、ウクライナは不必要な損失を被ることになり、それを元に戻すコストはリスクをはるかに上回りかねなかった」と、ヒルトンは本誌に語った。
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