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各地の「イランの民兵」が、はじめて対イスラエルの合同軍事作戦を実施した

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月10日 14時7分

「イランの民兵」はシリア軍やロシア軍と共闘する民兵の蔑称

一方、イラク・イスラーム抵抗も午後5時49分、テレグラムのアカウントを通じて以下の声明を発表した。

慈悲深く慈悲あまねきアッラーの御名において
「本当にアッラーの御好みになられる者は、堅固な建造物のように、戦列を組んで彼の道のために戦う者たちである」
偉大なるアッラーの言葉に偽りなし。
占領への抵抗における我々の路線を継続し、パレスチナにおける我らが住民を援助し、簒奪者政体が子供、女性、老人といった民間人に対して行う虐殺への報復として、イラク・イスラーム抵抗は、イエメン武装部隊と合同で、ハイファー港において、無人航空機による2回の軍事作戦を実施した。
イスラーム抵抗は敵の拠点を破壊する作戦をこれまで以上の頻度で継続することを確認する。

「イランの民兵」、あるいは「シーア派民兵」とは、紛争下のシリアで、シリア軍やロシア軍と共闘する民兵の蔑称である。イラン・イスラーム革命防衛隊、その精鋭部隊であるゴドス軍団、同部隊が支援するレバノンのヒズブッラー、イラク・イスラーム抵抗を主導するヒズブッラー大隊やヌジャバー運動などが所属するイラクの人民動員隊、アフガン人民兵組織のファーティミーユーン旅団、パキスタン人民兵組織のザイナビーユーン旅団、などを指す。シリアでの紛争に直接関与はしていないが、アンサール・アッラーも「イランの民兵」に含まれるものとみなされている。

「イランの民兵」の攻撃は、統合的に行われることはなかった

シリア政府側は、シリア内戦の文脈において、これらの組織を「同盟部隊」と呼ぶが、それらは対イスラエル抵抗闘争の文脈において「抵抗枢軸」と呼ばれる、シリア、ヒズブッラー、パレスチナ諸派そしてイランからなる陣営の一翼を担っていると見ることができる。

ハマース・イスラエル衝突が始まって以降、「イランの民兵」が、ガザ地区のパレスチナ人に対する虐殺(あるいはそれへの支援)への報復として、イスラエル、そしてシリア、イラク領内の米軍(有志連合)基地、さらには紅海、インド洋の米軍艦船への攻撃を繰り返してきたことは周知の通りだ。だが、各組織の攻撃は、統合的、あるいは同時的に行われることはなかった。

 

「イランの民兵」諸派の作戦が、綿密な調整のもとに実施されていたかどうかは定かではない。だが、イスラエルや米軍に対する攻撃は、例えば、シリア領内でイラン・イスラーム革命防衛隊の顧問がイスラエル軍の標的となった場合は、イランではなく、イラク・イスラーム抵抗、ヒズブッラー、あるいはアンサール・アッラーが即応するというように、波状的、かつ限定的に行われてきた。イスラエルの攻撃に対して、真正面から対峙し、報復を躊躇しないのは、ヒズブッラーくらいで、それ以外の組織は、イスラエル(あるいは米軍)との直接戦闘が持続するのを避けることで、ダメージの軽減を図るとともに、紛争全体のエスカレーションを回避しようとしてきた。

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