中国が台湾併合する非軍事シナリオを米シンクタンクが公開......日本が核武装?
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月12日 17時23分
日本もたびたび登場する。たとえば、2026年に入ると、靖国神社を訪れた中国観光客と日本人参拝者都の間で争いが起き、中国人観光客を含む数人が負傷する事件が起きる。加工された動画が中国のSNSで拡散し、世界に広がる。中国観光省は日本国内における「反中感情」の高まりを理由に日本への渡航警告を発令。中国外務省は日本を責め立てる。
つい先日、中国人が靖国神社で落書きして騒ぎになった。このシナリオを彷彿させるような事件だ。中国側がこのシナリオを読んだうえで仕掛けている可能性もある。ただ、靖国神社で騒ぎを起こすというのは中国と日本にとって注目を浴びやすく、影響工作を仕掛けやすいというのは今回の事件でも確認できた。
日本が核兵器を開発するという偽情報
こうした影響工作の一方で軍事的脅威を煽り続け、それが最高潮に達する頃に、日本が核兵器開発に着手したという偽情報を流す。
続いて中国は台湾、韓国、日本に対して死傷者がでるほどの軍事的挑発を行い、一触即発の緊張感を高める一方、アメリカ、日本、韓国の対応を妨害するための影響工作を行う。日本だけでなく、台湾も核兵器開発に着手したという偽情報を流布する。ぎりぎりまで緊張を高めたうえで、平和協定締結に動くことになっている。
もちろん、これはあくまでアメリカのシンクタンクが考えたシナリオであって、中国が実際になにを考えているかはわからない。ただ、おおまかな方向として軍事侵攻以外の方法を取る可能性が高いというのは多くの専門家に共通した認識と考えてよいだろう。そのシナリオのひとつとして提示されたものだ。
個人的には2022年のペロシの訪台によって、中国がこのシナリオを実行しやすくなったような気がしている。軍事的レッドラインをあげるのはアメリカの過剰な反応を招くリスクがあるので、中国もかなり慎重に行う必要がある。中国にとって、それをやりやすいのは台湾総統選で反中国の総統が当選した後だった。そこではある程度は許容されていた。
アメリカからすると、反中国総統のプラス分は大きいので、中国の軍事的示威行動のマイナスを差し引いてもプラスになるという計算があるのかもしれない。しかし、総統選より2年前先立つペロシ訪台はアメリカからの過剰な反応なしに軍事的レッドラインをあげるチャンスとなり、中国はそれを最大限利用した。これに合わせて、サイバー攻撃や認知戦も前倒しした可能性がある。処理水やPAPERWALLと呼ばれる偽サイトからの情報発信などは台湾併合に向けた動きの可能性がある。
もちろん、日本にとって軍事侵攻を想定した準備は不可欠なのは間違いない。なぜなら短期間かつ少ない犠牲で併合できるなら軍事侵攻の優先度は高くなる。守る側としてはさまざまな可能性に対応した備えが必要なのだ。軍事侵攻を想定したシミュレーションも必要だが、戦闘を伴わない軍事行動と認知戦主体の台湾併合の可能性も検討が必要そうだ。
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