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「恋愛ドラマはくだらない!」に反論したくなるNetflix『ブリジャートン家』、共感呼ぶ理由

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月14日 12時5分

コリン(写真一番左)が戻ってくる、第3シーズン第1話 LIAM DANIEL/NETFLIX

確かに『ブリジャートン家』には、フェミニストの登場人物や、非白人の貴族など、19世紀前半にいたとは考えにくい要素がある。だがそれは、ドラマのクリエーターたちが、よく言われる「カラーブラインド(肌の色を無視する)」ではなく、「カラーコンシャス(肌の色を意識する)」な作品にしたいと考えたからだ。

『ブリジャートン家』は、過去の架空の場所を舞台にしつつ、現代の人間模様を描いたドラマでもある。

近年、研究者の間では、時代物に架空の設定を入れ込むことによる映画やドラマの問題提起効果に注目が集まっている。主体的な女性を描いたり、人種的偏見を排したりした『ブリジャートン家』は、その狙いが大きな効果を発揮した例と言えるだろう。

黒人の公爵など常識破りの配役も LIAM DANIEL/NETFLIX

21世紀に通じるテーマ

常に美しく晴れ上がった庭で、念入りに着飾った登場人物が織り成す人間模様は、確かに架空の世界の話に見える。

それでも、現代にも共通する問題を提示して視聴者に考えさせるこのドラマのパワーは、なんら失われるわけではない。もちろん、ほとんどの視聴者はたびたび舞踏会に出席するような生活はしていないが、初恋の喜びと苦しみ、独りぼっちになることへの恐怖、家族のプレッシャーなどには強く共感できるだろう。

第1シーズンの中心となるダフネ・ブリジャートンと公爵の恋物語は、彼女が兄の傲慢な介入をきっぱりはねつけたとき、初めて本格化する。この6月に配信開始となった第3シーズンでは、容姿に自信のないペネロペ・フェザリントンの恋の行方が、多くの共感を呼ぶだろう。舞台は19世紀でも、『ブリジャートン家』には21世紀の視聴者を揺さぶる普遍性があるのだ。

時代物の多くの映画やドラマと同じように、『ブリジャートン家』は、リアル(史実と現代にも通じるテーマ)とファンタジー(美しい舞台と、うっとりするようなロマンス)を複雑に絡み合わせている。そしてその楽しみ方は、視聴者の数だけある。

新シーズンを一気見する予定のファンにとって、この現実とファンタジーを融合させた世界がキラキラだからといって、芸術ではないなどと言われる筋合いはないのだ。



Shelley Galpin, Lecturer in Digital Media and Culture Education, King's College London

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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