5つの独立運動に包囲された中国に「スイスモデル」という解決策
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月1日 16時1分
中国からの分離独立は、すぐには不可能だ。しかし歴史を振り返れば、中国から属国・属領が離脱した例はいくつもある。
朝鮮とベトナムは中国との朝貢・冊封関係を1000年以上続け、19世紀にようやく離脱。モンゴルも1911年に独立を宣言した。いずれも当時の支配王朝が停滞していた時期だった。
同じことが再び起こるかもしれない。中国は1978年から鄧小平が主導した改革開放政策で経済成長を続けたが、2008年前後を境に停滞に転じている。
逆説的な言い方になるが、これは中国にとって全く悪い話ではない。スイスは1648年に独立し、小国が列強に独立を保障される見返りとして厳格な中立を誓った。
香港が「スイスモデル」に倣えば、中国はほかの4つの独立運動との緊張関係(特に台湾との関係)を平和的に解決する手段を得られるかもしれない。
そうなれば「火種のリング」の5地域は、中国本土と西側との「緩衝のリング」となり、中国が欧米と軍事衝突する可能性は低くなる。
狭量で好戦的な中国の習近平(シー・チンピン)国家主席にこの解決策を迫れば、反発するのは必至だ。だが、弱体化する中国を見識あるリアリストが統治すれば、結果は全ての関係者にとって最善のものになるかもしれない。
練乙錚
YIZHENG LIAN
香港生まれ。米ミネソタ大学経済学博士。香港科学技術大学などで教え、1998年香港特別行政区政府の政策顧問に就任するが、民主化運動の支持を理由に解雇。経済紙「信報」編集長を経て2010年から日本に住む。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
ランキング
-
1金正恩総書記の肖像が描かれたバッジ、党幹部らが着用…偶像化を進める狙いか
読売新聞 / 2024年6月30日 17時8分
-
2英与党、総選挙敗北必至…経済振興・移民対策に失望感「ブレグジット果たしても良くなっていない」
読売新聞 / 2024年7月1日 7時46分
-
3極右が最多得票、過半数迫る=与党大敗へ―仏総選挙・第1回投票
時事通信 / 2024年7月1日 8時43分
-
4SNSの反日的投稿、中国IT大手が規制 日本人切りつけ事件めぐり
日テレNEWS NNN / 2024年7月1日 11時53分
-
5中国、「反分裂法」違反などで台湾人15人拘束 最高刑は死刑の指針で台湾警戒
産経ニュース / 2024年7月1日 13時14分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)