1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

中国EVにひっくり返される? 日本車大国タイとの「固い絆」を日本が失う意味

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月3日 17時31分

筆者が危惧しているのは、日本人の東南アジアに対する認識の低さである。国内では安全保障の議論になると軍事力や外交のことばかりが議論され、その背景となる産業の問題にまで言及されることはほとんどない。

だが、外交や安全保障というのは、基本的に経済や産業の延長線上に存在するものであり、各国の経済・産業政策と切り離して考えることはできない。

タイ東部のアマタシティ・チョンブリ工業団地にある700社以上の企業のうち日系企業が半数を超える COURTESY OF AMATA

今後、東南アジア各国のEVシフトが進み、日本メーカーがこれにうまく対応できなかった場合、日本は東南アジアでの製造拠点を失うと同時に、同地域での販売シェアも失うことになる。結果として、日本の中国に対する影響力は想像以上に低下するだろう。

日本がアメリカや韓国と協力して、外交的に中国を封じ込める努力をしても、産業というもっと現実的な部分で東南アジアが取り込まれてしまい、外交努力が全て骨抜きにされてしまう可能性すらある。

EVシフトは、各国の安全保障政策と不可分であり、単にビジネス上の損得の問題にとどまらない。今の日本におけるEV化に関する議論はこうした地政学的視点を大きく欠いており、極めて脆弱と言わざるを得ない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください