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何のために自慰をするのか...ここまで分かったマスターベーションの進化と必然

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月5日 17時55分

私たちはまず、霊長類全体において「マスターベーションをする動物」をリストアップすることから始めた。

公開されている研究から見つけたすべての詳細情報を集め、足りない情報は霊長類がいる現場で働いたことがある同僚に、アンケートに協力してもらった。彼らは少し驚いた様子ではあったが、丁寧に回答を記入してくれた。

異なる種の動物たちが互いにどのように関連しているかを知ると、生存種のデータを比較してどのように生物の特徴が進化してきたかを推論できる。そのため私たちは、大きな家系図のような形で、異なる霊長類の種同士におけるマスターベーションの行為の有無について、新たなデータを用いて進化上での関係を描き出した。

いくつかの分析では、交尾のシステムや、その種の間での性感染症の蔓延度といった他の特性に関する情報を付け加えた。

その結果、すべての年齢層において、メスとオスの両方において、そして野生か飼育下かにかかわらず、マスターベーションが行われていることが分かった。

マスターベーションは霊長類内では古くから行われてきた行為であり、サルや類人猿の種が進化の途中で取り入れた習慣である可能性は低く、人間を含むすべてのサルや類人猿の祖先がマスターベーションを行っていたことを発見したのだ。

アカゲザルは繁殖期になると1日に数回マスターベーションを行う Courtesy of Matilda Brindle

マスターベーションは繁殖の成功率を高められるか?

先行研究では、ウミイグアナの繁殖のシステムに巧妙な仕組みがあることが示されている。

ウミイグアナは、体の大きなオスがメスを独占し、小さなオスがメスと交尾しているのを見つけては、彼らを物理的に引き離してしまう。これを避けるために、小さなオスはマスターベーションを行い、精液をペニスの先端にある保存袋に溜めておく。そして次に交尾の機会があると、すぐさまその準備された精液を取り出すのだ。驚くべきことに、この方法によって小さなオスは受精の成功率を41%向上させている。

霊長類には、ウミイグアナのような精液を保存する袋はない。しかし、性交前に興奮を高めることは、依然として、序列の最上位のオスに性交を中断される可能性が高い低位のオスにとっては効果的な戦略である。なぜなら、性交前にオーガズムに近づくことで、交尾の機会があればすぐさま射精することができるからだ。

また、オスのマスターベーションは、精子の状態にも良い影響を及ぼす。つまり、射精をすることで、新たに新鮮で高品質な精子を補充して精子の状態を活発に保ち、これにより他のオスの精子に対して優位に立つことができる。

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